新しい散歩コース 盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(7)

3頭目の盲導犬シールと出会ってから、気がついたら一年がたっていました。なんだかすごく早かったです。
LINEでつながっているシールのパピィウォーカーのママさんに、先日美術館に行った時のシールのニコニコ顔の写真と一緒に「一年がたちました」と報告しました。
ママさんからは「パピィを委託されて初めて腕に抱いたとき、私の腕の中でふるえていたちっちゃなシールが、ユーザーさんをこんなにちゃんとサポートしている姿を見られて、パピィウォーカー冥利に尽きます。」とお返事を頂きました。

わが家周辺の散歩ルートでの歩行も一年たった昨日、ちょっとヒヤリとする体験をしました。
今の散歩ルートは、シールがまだ歩きながら固まってしまうことがあった一年前に唯一こわがらずに歩けるルートでした。危なかったのは細い歩道のない道で、そこを抜け道として車が通り過ぎた時のことでした。
幸いなことに、ヒヤリとさせられただけでしたが、今後のことを考えて、私は散歩ルートを変更することにしました。

目が見えているおかあさんと相談して、たまに散歩に行く別のルートの途中から現在の散歩ルートに合流する新しいルートを選びました。
「シール、今朝はちょっとこわい思いをしたから、明日からは違うルートを行くからね。」
シールにはそう話してから、おかあさんも一緒に新しい散歩ルートの変更部分だけ二回歩き、
「明日からここを歩くからよろしくね。」と話しました。
シールは一回目はちょっと歩くのにとまどい気味でしたが、二回目にはルートを把握したようでした。

今朝は新しい散歩ルートを初めて歩きました。
家を出る前、玄関で私はシールに「今日からは、昨日歩いたルートを行くからね」と話しかけました。
家を出てこれまでは左に行っていたので、シールは一瞬左に行こうとしましたが、わたしが「今日からこっちだよ」と声をかけると「あ、そうだった」という感じで右に曲がりました。
そこから先は、まだちょっと新しいルートに慣れない私を尻目に、シールは迷いなく歩いて左折ポイントもわたしを先導して曲がって行きました。
「シール、もうわかっているんだね、グッド!」
私がほめると、シールはしっぽを振って答えました(笑)。

散歩から帰ったら、おかあさんが「新しいルート、どうだった?問題なく歩けた?」と聞いてきました。
「シールがもうバッチリおぼえていたから何の問題もなかったよ」
と話すと、シールはおかあさんに、
「シール、ちゃんとできてすごいじゃない!あなた、本当におりこうさんね、えらいね!」
と盛大にほめられました。
シールは大好きなおかあさんにほめられて、うれしくなって、ハアハアと大きく口を開けて、お腹を見せてひっくり返り、しっぽをバタバタ振って喜びをあらわしたのでした(笑)。

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