過去を振り返ってもいいんだよ

 もうすぐ成人式となりました。

 振り返れば私は節目ごとに人間関係を断ち切って前に進んできました。
先日、中学時代に仲良かった友人の連絡先を探してみたのですが、非表示リストにも無かったので、
「あぁ、私が携帯を新しく変えた際に連絡先を消したんだ。」
と今更ながらに気づき、私は取り返しのつかないことをしてしまった、と後悔しました。

 私が知らないところで周囲の人たちは長期休暇に地元の友人に会ったり、定期的に連絡を取るそうです。正直自分には考えられませんでした。
 私は心の奥底でどうしても
「過去に固執してはいけない、過去を振り返ってはいけない、過去のことはすべて精算して前進しなくてはいけない。」
と思ってしまうのです。

 そんな考えを持っているせいでしょう。私は仲良くなった人を「友人」と呼べません。そして、誰かと会話をしていても
「どうせこの関係もいつかは終わる、この関係に固執してはいけない、早く断ち切らねば。」
という焦燥感に駆られます。このような考えが無意識に態度に出てしまい、きっと他者はそれに気づいていて、そのため私には皆のような友人がいないのだと思います。

 私がこのような考えに至ってしまったのは、私がどうしても永遠を追い求めてしまうためだと思います。
 人間関係に限らず世に中に永遠であるものはないということは分かっているつもりです。そうですね。分かっているからこそ、私はそれがいづれ途切れて無くなってしまうことを異常に恐れてしまうのだと思います。そのために、この永遠に続くように思える関係も強制的に途切れて以前のようには戻らない、という悲しさに私は耐えられないのだと思います。

 過去を断ち切れば、その瞬間は
「私は自分に勝ったぞ。」
等と思ってしまいます。
しかし、その代わりに私は過去は振り返れないし、振り返る資格もない。
だから覚悟をして生きていこう、と思って生きてきました。

 しかし、最近はふと考えます。
「もし、両親が死んだら、兄弟と連絡が取れなくなったら、今仲良くしている子とも連絡がつかなくなったら。一体私はこれからどうやって生きていくのだろう。私はこれからぶち当たる壁にも一人で乗り越えていけるのか。そもそも私はこれからもずっと独りぼっちなのか。」
と。

 本当に悲しい人生ですね。そのように考えていたら居てもたってもいれなくなって、2年間連絡をしていなかった幼稚園からの友人に気が付けば連絡をていました。
「成人式は参加するのか。」
と。

 過去は振り返らない、と誓って生きてきた私がこれまで一切連絡を取ってこなかった友人に成人式という、私が一番行ってはいけないと思う場を話題に出すなんて本当に滑稽ですよね。

 既読は数秒で着きました。実は私は送信直後そのメッセージを一度取り消しました。しかし、あの子は私からメッセージを送信されたことを確認して、その後私がそのメッセージを取り消したのことを不思議に思って、私が再度メッセージを送信するのを待っていてくれたのかもしれません。

 返事としては、その子は成人式に参加するようで、私に会いたいと言ってくれて、会った際には写真を撮ろう、と言ってくれました。
 
 生きていればこんなに嬉しいこともあるのか、とまだ若いながらに思いました。そして、今まで背負ってきた重いものが少し軽くなったように感じました。

 最近、このブログで
「友人関係は時間がつくるもの。」
とありました。

 「あぁ、そうだったのか。それでよかったのか。」
と思いました。終わりを見据えて人と関わってきた私に友人が出来ない理由がやっと分かりました。いつも私はその場その場、ごまかしごまかしの自分で人と関わってきたにも関わらず、本当は分からないながらも人との関係を模索し続けていたのかもしれません。私が今正解だと思う考えは、私だけの世界に閉じこもっていれば決して導き出せないものでした。

 時間をかけて友人関係を築いていく、これは私にとってとても難しいことです。なにせ、私が今まで恐れて逃げてきたことですから。このようなことに悩んでいて思うのは、やはり私の敵というのはいつも私であるということ。原因はやはり自分にあるということ。

 そんな私に助言や助けとなってくれるのは、やはり人ではないでしょうか。私は学生時代勉強一筋で学年1位等取ったことがありますが、その時幸せであったかと尋ねられたら分かりません。いつも間にか私は良い成績を取り常に周囲と比較して高い位置にいることが自分の人生にとって必要で、それこそが自身を豊かにしてくれることであるとは言えなくなっていました。

 私が今出来ることは今ある関係と可能であれば振り返ってもよい関係と、これから出会う関係を自分から断ち切らず、大切にしていくことです。むやみに続けようと思わなくてもいいけれど、もし振り返りたいときには思い切ってその関係を手繰り寄せるのも選択肢としてアリと思うことかもしれません。

 もうすぐ成人式です。私が行くはずの無かった成人式が、あの子に会うための成人式となりました。

 最後まで読んで下さりありがとうございました。
 では、またいつか。



 

 

 
 

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