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【詩】願いながら。


大好きだった。

いつか、出会いには別れが来ることを分かってた。 

それでも、永遠を願った。

唐突に失った朝は、胸に大きな穴ができたかと思うほどに、心が虚ろだった。

何も見たくない、聞きたくない、信じたくない、受け止めたくない。

…けれど、どんなにそう思いたくても、
目の前の全ては、紛れもない真実で。

たった一つの、この世の理を示す事実だった。

後悔も、胸を焼く痛みも、辛さも、哀しみも、寂しさも。  

分かっていた。
頭では、そのことをちゃんと“理解”してた。

それなのに、心は、そのことを直視しようとしなかった。

だけど、たしかに現実を見たとき、
目の縁からは滴が溢れ、頬を伝った。

“サヨナラ”も、最後に口にした。

どこかで、ほんとは、
“もう会えない”って気づいてたから。

かたくなに、自らの感情を見ないふりしたのだ。

まるで、いま起きていることが、
最初からなかったみたいに。

向き合うのを避けて、仮面を取り繕った。

…そんなことしたって、時は戻らないのに。

願っても、願っても、叶いはしないのに。

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