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POEM

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詩的なものをまとめました。
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#自分

【短編小説】背を押すのは

「あなたはあなたよ。  どんな自分もあなたの中の一部なの」 温かいはずの言葉がうまく胸に馴染まない。褒められるたび、別の誰かが褒められているような気がしていた。 僕は、昔のまま、何も変われていないのではないか。 「あなたは良い子ね」  家族は言ってくれた。 「優しくて、真面目な人だね」 友達は言ってくれた。 でも、本当の僕はそんな人間じゃないんだよ。 笑う裏で、嘲笑っている。 どうにか変わりたくて、 過去の自分を消したくて、 必死に藻搔いて足掻いた結果なんだ。 『

言葉の在り方

言葉とは、時に 優しく、やわらかい毛布のようであり、 鋭くて、とがった刃物のようだ。 言葉とは、時に 快く、あったかい陽だまりのようであり、 苦しく、つめたい暗やみのようだ。 言葉とは、時に 癒し、心に透きとおる薬のようであり、 傷つけ、死にさらす劇物のようだ。 言葉とは、 選び方、遣い方、表し方、捉え方が 多種多様に在る。 人それぞれ、“自分”をもっていて、 1人ひとりの蓄積した過去によって、 言葉は形成されていく。 つまり、自らが用いる言葉は 自分自身を映す『鏡

青い春

いよいよ、春が終わる。 まるで一瞬のように青い春が去っていく。 振り返ってみると、ポツポツと足跡が見える。 3年間という日々が。 散りばめられた思い出の欠片が。 忘れないように、消えてしまわないように。 一つ一つ集められて、完成したアルバム。 めくるたび、微笑む。 笑顔が光って、綺麗だなって思う。 いつになく晴れやかな今日、この日。 目には見えなかったけれど、心に咲いた桜。 おめでとう、を心から言えた。 おめでとう、を心を込めて言えた。 自分に対して

【詩】自問自答

自分が自分でわからなくなる。 自分の色って何色だっけ? 何が好きで、何が嫌いで。  そんなにはっきりしなきゃだめ? 曖昧は許されないのかな。 キャラとか系統とか。 合わせること多くて、 いつのまにかしんどい。 自分らしくって、案外難しい。 意外と周りに固められた“自分”なんだなって気づく。 その時、自分を知るって、自分と向き合うって大切。 たまに見失って、忘れかけて、思い出すものなんだよなぁ。