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地域猫活動 その50

 いつも記事をお読みいただきまして、ありがとうございます。気がつけば、いつの間にかこのタイトルで50本目の投稿になるのかと、自分でも驚いている次第です。


譲渡会も容易じゃない(1)

 今は、各地で保護猫や保護犬の譲渡会が開催されて、殺処分などという、恐ろしいことが1件でも少なくなるように、様々な立場の人々が努力しています。もちろん、私猫じいもその一人でございます。

 そもそも、命あるものたちが、まるで不要になった物品を廃棄処分するかのように、簡単に捨てられることは、あってはならないことですし、重大犯罪になるはずのことです。ところが現実には、ペットを簡単に遺棄する人がいるんです。
 また、不適正な飼育によって、犬猫がかわいそうな状態になっていると言うことも現実にあります。はっきり言ってしまえば、うちで保護している猫のハルミも、その不適正飼育の被害者かも知れません。

 さて、保護猫を譲渡会に出すと言っても、なかなか容易なものではありません。まず、私たち人間の側の都合で言えば、譲渡会の会場が我が家から近ければ、こんな嬉しいことはないのですが、それはめったにないことで、譲渡会の主催者がどこを拠点に開催しているかが、最大の問題です。また、日時も、人間の側の用事と重なっていないか、心配な所です。そして、譲渡会にもよりますが、当日までに済ませておく、猫の避妊手術やワクチンなどの医療がどれだけできているかも関わってきます。
 それから、会場がどんな場所かによって、集客効果がどれだけある場所なのかも気になるところです。また、季節やその日の天候によっても、当然人の出方が変わってくるはずです。

譲渡会も容易じゃない(2)

 次は、人間ではなく猫の立場になって考えてみると、譲渡会という特別な雰囲気の、しかも慣れない場所に連れて行かれると、性格にもよりますが、ほとんどの猫はびっくりして、それこそ「借りてきた猫」の状態になってしまったり、反対に興奮して騒ぎ出す子もいました。以前私がお世話になった保護猫の時は、初回は、まるで猫の置物のように固まってしまい、ケージの隅っこに、じいーっと険しい顔で座っていました。
 それに、会場が遠方にあると、当然搬送に時間がかかります。動物にもたぶん乗り物酔いみたいなものがあるのではないかと思いますが、ふだんあまり鳴き声を上げないのに、車で移動中にずっと鳴いている子もいます。従って、そう考えるとあまり頻繁に週末の度に譲渡会に連れて歩くのは、猫にとってストレスになることは避けられないと思いました。
 また、当然ですが、当日体調を悪くしてしまった猫は参加できませんので、自動的に譲渡は延期になるわけです。

車は嫌い! やっぱりおうちがいいニャン


譲渡会も容易じゃない(3)

 さて次は、譲渡する側と、される側の問題です。これは、譲渡会の場合も、個人で保護した猫を譲渡する場合も、何の条件もなしにお渡しするということは、普通だと、まずあり得ないですよね。
 少なくとも、終生飼養することや、完全室内飼いにするなど、譲渡する側から出す条件がありますが、中には、譲渡会を主催する団体によっては、非常に厳しい条件をいくつも付けられるため、「そんな条件で誰が里親になれるんだ」という厳しい批判を受けている団体もあるようです。中には、子供が居るというだけで、即ダメという判断をする団体もあるのは、私は、ちょっと問題だと思います。子供は必ずペットを粗末に扱うと決めつけているかのような言い方をするのは、どこか間違っていると思います。むしろ、生命尊重の教育をしようと思っているのなら、逆に大人と子供が一緒に小さな命と向き合って暮らすというのが必要かと思います。
 また、譲渡した後は、たまに抜き打ちで適正に飼育されているかどうか、訪問して確認させてもらうなどという条件を付けるのは、もはや「正気の沙汰ではない」と、私なら考えます。せっかく保護して譲渡した猫が虐待や不適正飼育などで不幸になる事が絶対ないようにと願う気持ちは、地域猫活動家の私にも、もちろんわかります。しかし、限度を超えると、生きものを通した人間同士の豊かな関係など築けるわけがなく、「譲渡会なんてやめた方がいいよ」などという噂が広がると、お互いにいいことなどひとつもないはずです。
 ちなみに、私がお世話になっている譲渡会では、そのような心配はありません。もちろん必要最低限の条件はありますが、保護猫を通して豊かな人間関係を築けるような主催者側の考え方です。

譲渡会も容易じゃない(4)

 今度は、譲渡される側に立って考えると、「どんな猫でもいいからほしい」という願いで譲渡会に来る人よりも、はっきりとした願いを持って譲渡会に来る人の方が多いことに気づきます。例えば、黒猫がほしいと思っている人が来場しても、その日の会場には黒猫が居なかったとしたら、たぶん別の毛柄の猫をお勧めしても、多くの場合、その気になってはもらえないと思います。
 また、猫の性格にもよりますが、先住猫あるいは、ほかに犬も飼っている家の人が猫を希望しているという場合もあるので、譲渡するのにふさわしいかどうかの判断は、いろいろとお話をしてみないと難しいです。
 さらに、参加した猫で、病気や障害など、何らかの問題を抱えている猫は、非常に苦労します。実際私も昨年エイズキャリアの猫を譲渡会に出して苦労しました。(ありがたいことに、その子は今幸せになってます)
 それから、保護してから譲渡会に至るまで、病気や大きな怪我などで多額の医療費がかかっている子も、里親様になる方から、どれだけいただけるかも大きな問題です。
 いずれにしても、トライアル飼育を経てから正式譲渡が決まる流れなので、たまに、「やっぱりダメでした」という残念な結果になる場合もあるようですが、多くは先住猫との関係などです。それは考えてみれば当たり前のことで、猫を譲り受ける側としては、先住猫との悪い関係や、どうしても新しい環境に慣れないなどの悪い状態のまま何年も過ごすわけにはいかないからです。
 最後に、これからの季節、どうしても成猫の譲渡が厳しくなりそうです。理由は、子猫が譲渡会に出ることが増えてくる季節なので、多くの人は子猫にどうしても目が行ってしまいます。と言うわけで、前回の譲渡会は空振りでしたが、次回頑張ってみます。次回はこの会場です。

 本日も最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

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