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Adobe 〜クリエイティブ活動を刺激し続けるソフトウェア企業〜

概略

Adobeはカリフォルニア州に本社を置くソフトウェアテクノロジー企業です。
クリエイティブ・デザイン、ビデオ編集ツールとAcrobat PDF等のサービスでトップシェアを誇っています。
また、マーケティングツールやAI、ECサービスも提供しています。
Adobeはクリエイティブのプロの約9割が使用するツールを展開しており、まさに独占状態と言えるでしょう。

ビジネスモデル

Adobeは以前、Photoshopなどのツールをパッケージ版ソフトとして販売していました。
しかし、現在ではクラウド経由のサービスに全面移行しており、サブスクリプションの形で提供しています。
今後パッケージ版は販売しないという方針のため、クリエイティブのプロはほぼ全員がサブスクリプションの会員になったといえます。
そのため、Adobeは安定した収入を得ることに成功しました。
現在の会員数をAdobeは公表していませんが、相当な数の会員がいることが予想できます。

また、以前はAdobeの商品はプロが使用するツールというイメージがありましたが最近では誰でも利用できるソフトという考え方で開発を行っています。
そのため、SNSの主要利用者層である10代の若年層にも爆発的に広まっています。
無料で利用できるAdobeのアプリでAdobeの製品にまず触れてもらい、その後さらに便利な機能がある完全版に移行してもらいたい狙いです。

また、小学校などの教育現場でも使用してもらえるように安価な料金設定のサービスも提供しており新たな利用者層の開拓も進めています。

各種指標

ここからはAdobeの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
まず、売上は毎年増加しておりコロナ禍であっても順調に成長していることが読み取れます。
また、営業利益率は30%台と非常に高い数字です。
ITサービスを提供する企業は営業利益率が高くなる傾向がありますが、それでも30%台は非常に良い数字だと考えています。

Adobeは現在クリエイティブな作品を作るために欠かせない存在となっています。
そのため他の製品よりAdobeを選ぶ顧客が多く、ここにAdobeの競争力の強さを感じることができるでしょう。

今後の展望とまとめ

以上のようにAdobeはクリエイティブな作品を作るために欠かせないツールをサブスクリプションで提供しているため今後も順調に成長していくことが予想できる企業と言えるでしょう。

また、現在Adobeは画像の生成AIの分野で経済圏を広げています。
3億点以上の画像がある自社サービスをAI学習の強みとし、簡単にデザインを生成できる機能を既存のソフトに入れる計画です。
この生成AIを「ファイアフライ」といいます。

ファイアフライは100以上の言語に対応しており「絵本を読む犬」などキーワードを入れると数秒で画像が出来上がります。
以前は、生成AIは学習したイラストや写真をもとに画像を作成をするので学習する画像に著作権の問題がありました。
そのためAdobeは学習にAdobeが権利を持つものか、著作権が失効したものを使っています。
それでも膨大なAI学習を可能にしたのは画像提供サービスである「アドビストック」のおかげです。
Adobeストックに提供した素材がAI学習に使用されると作品数や人気に応じてクリエーターに報酬を払う制度を導入することでクリエイター、ユーザーどちらにとってもWin-Winの関係を作ることに成功しました。

日本経済新聞より

この制度のおかげでクリエーターは自分の作品に報酬が払われますし、Adobeも AIに学習させることができます。
利用者は生成AIで作成された画像をPhotoshopなどで加工したり、編集したりすることが可能なのでさらにAdobe経済圏を利用することになります。
このようにしてAdobeはAIなどの技術を活用し、今後も経済圏を拡大していくと予想されます。
また、今後コンテンツ創作の需要は2024年末にまでに5倍になると予想されており、まだまだ成長の余地はありそうです。

クリエイティブ活動に欠かせないツールを展開するAdobe。
人間の創造性がある限り存続していく企業になるかもしれません。

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