コムキャスト ~ユニバーサルスタジオを運営するケーブルテレビ大手~
概略
コムキャストはアメリカのペンシルバニア州に本社を置くケーブルテレビ・情報通信・メディアエンターテイメントを手掛ける企業です。
各地のケーブルテレビ局の運営に加え、複数の専門チャンネルも運営しています。
有力な企業をM&Aで子会社化することで巨大なメディア・コングロマリットとなりました。
また、ユニバーサルスタジオを運営する企業としても有名です。
ビジネスモデル
コムキャストにとってはケーブル通信事業が最大の事業部門となっています。
その中で3つの主要事業としてコムキャストケーブル事業、NBCユニバーサル事業、スカイ事業があります。
コムキャストケーブル事業は簡単にいえば通信事業です。ブロードバンドやビデオなどを提供する事業となります。
NBCユニバーサル事業はさらに3つの事業にわかれます。
1つ目はメディア事業です。国内、海外のテレビやストリーミングプラットフォームを提供しています。
2つ目はスタジオ事業です。映画やテレビ番組のスタジオ制作・配給を行なっています。
3つ目はテーマパーク事業です。これは主にユニバーサルスタジオの運営です。
スカイ事業は消費者に直接ビデオやブロードバンドを提供する事業になります。
この中でコムキャストケーブル通信事業が一番の売上を上げており、半分以上を占めています。
しかし、コムキャストは現在NBCユニバーサル事業すなわちメディア事業に軸足を移そうとしています。
メディア市場の動向
メディア事業に軸足を移そうとしているコムキャストですが、現在の主力事業はケーブルテレビです。
しかし、この市場は競争必至です。
競合企業としてはネットフリックスやディズニーがあげられます。日本でもWOWOWやJ:COMなど多数の競合がひしめく市場で戦っています。
これまでのケーブルテレビ一本足打法だと収益基盤が危ういという可能性がありました。
そこでコムキャストはNBCユニバーサルを買収し、映画制作のユニバーサルピクチャーも傘下におさめたのです。
映画市場の近年の動向として大手の映画制作会社はほぼ全て大手通信・メディア会社のグループ企業になっています。
なぜこのような現状になったかというと映画の制作費が大きくなったことが挙げられます。
コロナで家にいる時間が増えた人が多くなり、それに伴ってテレビや映画を見る時間が増えました。質の高いコンテンツを配信しなければ他のチャンネルに顧客が取られます。
そのため、巨大な企業のグループ会社になることでその費用を捻出しているというわけです。
また、映画市場はゆるやかではありますが成長していますので各社は巨額の費用を投じてしのぎを削っているのです。
各種指標
ここからはコムキャストの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
売上は毎年増加しており、堅調に成長しているといえるでしょう。
また、営業利益率も20%超と非常に高い数字で安定しています。
製品を製造販売するメーカーよりはメディア事業の方が営業利益率は高くなる傾向がありますが、それでも20%超の数字は非常に高いです。
今後もメディアは成長の余地があり、成熟産業ではないと考えていますのでまだまだコムキャストは売上や営業利益を順調に伸ばしていくのではないかと思います。
今後の展望とまとめ
以上のようにコムキャストはケーブル通信事業を核としつつも、M&Aなど買収を行うことでメディア事業などを拡充している多角化企業と言えるでしょう。
国内・海外を問わず動画配信サービスはコロナをきっかけに在宅時間が増えた結果大きく成長しました。コロナの緩和によって成長ペースはやや落ち着いてきていますが、それでも拡大していくと予想がされています。ちなみに2020年から2021年にかけて24.5%も増加しています。
ここから動画配信市場にはまだ成長の余地があると考えていいと思います。
また、コムキャストは動画配信サービスの視聴者のデータを活用した広告事業の展開など新たなデータ戦略も行なっています。
デジタル事業に大きく舵を切っていますが、デジタル広告事業を展開するGoogleなどがライバルとなるためここでも非常に厳しい戦いが予想されます。しかし、足元の数字は安定成長しており、堅実な経営を行っていることも事実です。
また、ユニバーサルスタジオのテーマパーク事業もコロナ以降は収益に貢献することが予想されます。
ライバル企業が非常に強い市場で戦うことにはなりますが、通信事業で安定した収益を生み出す基盤を持っているコムキャストは大きく負けるということはないと個人的に考えています。
人々の生活を彩るメディア事業で戦うコムキャスト。
これからも世界にワクワク・感動・ドキドキなど新たな感情を生み出すコンテンツを提供してくれるに違いありません。