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ヤム・ブランズ ~世界最大規模のレストランチェーン~

概略

ヤム・ブランズはアメリカのケンタッキー州に本社を置く世界最大規模のファーストフード・レストラン・チェーン企業です。
中国を除く150以上の国と地域で5万店以上のチェーンを展開しています。
中国事業に関しては、2016年より「Yum China」としてスピンオフしました。

「ケンタッキー・フライド・チキン」、「ピザハット」、「タコベル」などのファーストフード・レストランチェーンブランドを保有しています。

ビジネスモデル

ヤム・ブランズはケンタッキーをはじめとする有名ブランドを抱えており、日本でもケンタッキーは1000店舗以上、ピザハットは400店舗以上を展開しています。
一方でタコベルは10数店舗とまだまだ少ない状況ですが、海外ではすでに7000を超える店舗を出店しており、成長途上のブランドといえるでしょう。

ちなみに、タコベルはメキシカンスタイルのファストフードで、マクドナルドとも住み分けができる業態となっています。
またヤム・ブランズは全世界で店舗を展開しており、地域別売り上げのバランスも良い割合になっています。

また、最近ではハイテクスタートアップ企業を買収したことで話題となっています。
詳しく説明していきます。

スタートアップ企業①クヴァンタム

クヴァンタムAIを使ったマーケティングシステムを開発し、消費財メーカーなどに提供しています。
このシステムは各種のビッグデータを参照しながら、消費者それぞれに対して最適な広告を配信することを可能にしています。
ヤムブランズは保有しているブランドのマーケティングにクヴァンタムのテクノロジーを活用する戦略を立てて実施しています。
各メディアのチャネルごとにマーケティングパフォーマンスを分析し、ユーザーに応じて広告をカスタマイズしたり、ユーザーの好みに合わせて「レコメンデーション(おすすめ機能)」を配信したりすることが想定されています。

スタートアップ企業②ティクタク・テクノロジーズ

ティクタク・テクノロジーズFacebookメッセンジャーやWhatsAppなどのメッセージングアプリを使ったオーダリングシステムを開発・提供している企業です。
使い方は非常に簡単で例えば、Facebookメッセンジャーアプリの場合、ピザハットなどを友達追加し、その友達とチャットするだけです。
また、チャットボットが「今日のおすすめは○〇ピザです」や「お得なクーポンがあります」といったチャットを送ってくれるのでそれに従ってチャットを返したり、トッピングなども指定したりすることでスムーズに注文することが可能です。
チャットの反応が非常に速いので電話やパソコンで注文するよりもスピーディーで便利です。

各種指標

ここからはヤム・ブランズの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
まず売上高は毎年増加しています。
コロナ禍でも売り上げを伸ばしているのは強い企業と言えます。

また営業利益率は30%前後と非常に高い数字です。
飲食店を展開する企業としては驚異的と言えるでしょう。
これは上記のIT戦略に加え、低所得層をターゲットにした割安セットなど商品展開も充実させたことも要因です。
これにより、インフレ下においても堅調な売り上げを計上することにつながりました。
これは全世界で有名ブランドを展開しているという強みを持つ企業は多少のことでは揺らがないという証拠になると思います。

今後の展望とまとめ

以上のようにヤム・ブランズは全世界で有名ブランドを展開し、ITを活用した戦略も行うことで安定した利益を毎年計上している企業といえるでしょう。

また、スタートアップ企業を買収したことから考えられるのは、ヤム・ブランズは現在アメリカで進行している「飲食業のインダストリー4.0」という極めて重要なキーワードを重視しているということです。
インダストリー4.0で先行している企業と言えばAmazonがあげられます。
AmazonはビッグデータやAIを使ってカスタマイゼーションやレコメンデーションを行い、自社のビジネスを進化させています。
さらにはアレクサなどの音声チャットボットを搭載したスマートスピーカーも開発し、新たなチャネルとして普及させています。
ヤム・ブランズの経営戦略もAmazonに非常に似ているといえるでしょう。

ヤム・ブランズのデジタル売上は2020年に前年から45%も増加しました。コロナ禍にこの戦略をとることで売上を落とすことなくむしろ上げたのです。
この戦略は今後も続くと考えており、さらに売り上げを伸ばすのではないでしょうか。

ただ、飲食業は競争が非常に激しく、特に集客のための広告費がかさむことになります。
直近の業績では物価高の影響や経費の上昇でやや成長が鈍化していることも事実です。
しかし、強いブランドを持ち、正しい経営戦略をとる企業は間違いなく業績を上げると考えていますのでヤム・ブランズも間違いなく今後も成長するでしょう。

超大手としてあぐらをかくことなく常に正しい戦略をとるヤム・ブランズ。
今後何十年先も成長していると確信しています。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0335B0T00C23A5000000/


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