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建設・鉱山機械でも進む燃料電池

コマツとゼネラル・モーターズ(GM)は鉱山機械である大型ダンプトラック向けに燃料電池を共同で開発すると発表しました。

コマツとGM、ダンプ向け燃料電池を共同開発:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC088TF0Y3A101C2000000/



鉱山機械や建設機械は温室効果ガスの排出削減に向け、動力源をディーゼルエンジンから電池や燃料電池に転換する動きが出ています。

電池や燃料電池の普及には水素や電力の供給設備の整備が課題ですが、鉱山機械は動くルートが決まっており、水素の供給インフラを用意しやすいということです。

鉱山の現場では、各種鉱山機械の動きがある程度決まっており、自動運転技術も進んでいます。

そうなると、そのルートに合うように水素や電力の供給設備を整えてしまえば電池や燃料電池の普及が見込めるというわけです。

また、コマツは電動化時代に備えてバッテリーの確保も急いでいます。

電池は電気自動車(EV)が主戦場ですが、脱炭素の対応を迫られる建設業界でも争奪戦が始まっているのです。

これまで建設機械の分野では、電動化がそれほど進んでいませんでした。

理由としては、大型の機械が多く、高い出力を保たなくてはならないからです。

また、建設現場は充電設備から遠いケースが多く、電動化との相性は良くないという側面もありました。

しかし、現在では脱炭素に向けた取り組みが遅れれば、投資家や取引先から不評を買うことになります。

そのため各社は急速に電動化を進めているのです。

コマツもアメリカのバッテリーメーカーを買収するなどすでに動いています。
コマツの他にもボルボグループも買収を行っており、電池買収争奪戦が起こっているのです。

この相次ぐ買収の背景には、ディーゼルエンジンに依存していては各社の稼ぎ頭であるメンテナンス事業を失うという危機感があります。

建設機械の新車販売は景気の波の影響で収益が上下しますが、部品販売や修理などのアフターサービスは車体が稼働している限り需要が大きく落ち込むことはありません。

例えば、コマツでは部品販売が建機事業の4分の1を占めています。

新車販売はフロー型のビジネスですが、メンテナンス事業はストック型のビジネスであり、安定した収益源になっているのです。

https://business-textbooks.com/flow-stock-business/



ただ、脱炭素が進んでディーゼルエンジンの需要が低減すれば、メンテナンスの安定的な収入源も減ることになります。

そのため、各社は今のうちから将来の主要部品になるバッテリーを内製化することで、次世代の事業基盤を確保しようとしているのです。

EVだけでなく建設機械や鉱山機械でも進む脱炭素化の波に乗り遅れることはビジネスチャンスを失うことを意味するのかもしれないですね。

コマツについては以下の記事に書いていますので読んでいただけると嬉しいです。


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