ゼンショーHDの世界挑戦
すき家などを手掛けるゼンショーHDの株式時価総額が今年、外食業界で初めて1兆円を超えました。
これはドイツや北米・英国で約3000店の持ち帰りずし店を手掛ける「スノーフォックス・トップコ」を傘下に収めたことで市場期待が高まったことが要因です。
市場シェアは米スターバックスをはじめ世界の外食チェーンが視野に入るほどで、今後は国内だけでなく世界に軸足を移すとしています。
創業から30年あまりで外食の国内最大手にのし上がったゼンショーHDですが、その原動力は積極的な出店とM&Aにあります。
主力である「すき家」の出店拡大や「ココス」や「なか卯」などを相次ぎ傘下に入れることで多様なブランドを抱える外食グループを作り上げました。
また、積極的なM&Aとともにゼンショーの強さを支えるのが「MMD(マス・マーチャンダイジング・システム)」という仕組みです。
ゼンショーHDは外食から小売り、介護まで幅広く手掛けているのですが、事業の垣根を越えて調達から製造、物流を傘下の専門会社が担うという仕組みを取っています。
これにより、集中購買が可能となるのでコストを抑えることが可能です。
実際、原材料高の影響で吉野家や松屋が牛丼を値上げする一方で、すき家は値段を据え置いています。
国内外食最大手の座を手にしたゼンショーは海外でも展開スピードを上げるとしています。
既に海外は5759店と国内の4524店を上回っており、新規出店も海外の方が多いです。
21年の世界の外食チェーン市場におけるゼンショーHDのシェアはケンタッキーフライドチキンやピザハットなどを展開する4位のヤム・ブランズなどに次ぐ6位に位置しています。
世界の外食大手とゼンショーHDのビジネスモデルには違いがあります。
ゼンショーHDは外食に加え、食品スーパーの「マルヤ」なども含めて多くのブランドを傘下に抱え、直営店を中心に展開しています。
一方でスターバックスやマクドナルドなどは世界規模で業態を絞って展開しており、フランチャイズ(FC)が多いのが特徴です。
ゼンショーHDの直営店方式は運営資金を原則自社で賄う必要があるため、FC方式より資金が必要になります。
まだこの点で世界大手と差があるとゼンショーHDは考えており、今後の海外展開では直営店とFCの両輪で出店を進めるとしています。
また、日本で培ったMMDを海外のFCに浸透させ、新たなビジネスモデルを築くことで世界でも収益性を高めようとしているのです。
世界の飲食料市場は今後も成長が見込まれています。
また、経済成長が著しいアジアでは特に市場規模が拡大することが予想されており、ゼンショーHDはすき家をアジアで数多く展開しています。
今後はブラジルやメキシコでも出店を増やす計画です。
日本で頭ひとつ抜け出したゼンショーHDは世界の背中を捉えるべく奮闘しています。
世界シェアで4位のヤム・ブランズについて企業研究をした記事もありますので読んでいただけると幸いです。
アメリカで急成長しているチポトレ・メキシカン・グリルについても書いていますので併せて読んでいただけると嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?