コマツ 1Q決算について
コマツが7/29に発表した2024年度第1四半期決算では、前年同期比で増収増益でした。
売上高が6.7%増の9,598億円、営業利益は6.8%増の1,570億円となっています。
コマツは超グローバル企業なので全世界でビジネスを展開しており、地域ごとに振れ幅があります。
そこで各地域ごとの売り上げの中からコマツにとって大きな地域を見てみたいと思います。
まず日本ですが、売り上げは微減となっています。
新車の需要は減ったものの値上げにより売り上げを確保したというような形です。
コマツは積極的に値上げする・できる企業ですのでここは強みだと思います。
ちなみに昨年も値上げを実施しています。
次は北米です。
北米はコマツにとって非常に重要な地域です。
北米はインフラ向けの建機が堅調に推移したことと円安、値上げといった要因から売り上げを伸ばしました。
次は中国です。
現在の中国は不動産市況の低迷が続いています。
経済的にも停滞感があるので新車の需要は低いです。
ただ、新しい建機を購入せずに今の建機を使うということはメンテナンス費用の発生や不具合の箇所の部品が売れるということになります。
その結果売り上げは前年を上回ったという形になりました。
アジア・オセアニア地域は主に鉱山機械がメインになります。
ただアジア最大市場のインドネシアで需要が減少したのでアジアでは売り上げが前年を下回りました。
一方でオセアニアは鉱山機械の部品やサービスが伸びたことと円安の影響で上回ったということになります。
ここまででお気づきの方もいると思いますが、コマツにとって為替は非常に重要です。
コマツは建機メーカーなので当然ながら建設機械の売上が90%以上を占めているのですが、建設機械の増減要因を見てみると為替の影響が大きいことがわかります。
第1四半期は好決算ではありましたが、コマツの通期予想は23年度と比較して減収減益を見込んでいます。
これは為替の影響を除くと台数自体はそこまで増加していない、むしろ減少しているという理由からです。
コマツは世界情勢や景気に売り上げが非常に左右される企業なのでニュースはきっちり確認しておきたいですね。
ただ、今後コマツは施工プロセス全体を最適化するソリューション(コト)と親和性の高い製品(モノ)を組み合わせて全体の課題を解決するというビジネスモデルに転換しようとしています。
特にスマートコンストラクションや鉱山機械の自動化の推進、電動化機械の開発はその一環です。
また、コマツは機械の性能を決める重要な部品であるキーコンポーネントを自社で開発・生産していることが強みです。
これによって技術革新の織り込みによる差別化に繋がります。
さらに、重要部品であるからこそアフターマーケットビジネスに繋がります。
実際に部品・サービス事業はストックビジネスに近いことから安定した利益を生み出します。
景気に左右されないストックビジネスを大きくできれば、建機本体の売り上げが伸びなくても事業基盤は安定しますし、大きく伸びればその恩恵を思う存分受けられます。
もちろんコマツが内製化できないパーツもあります。
とくに電動化に不可欠なバッテリーなどは時間を買うという意味で協業なども行なっています。
このようにコンポーネント戦略を柔軟にすることでコマツは成長していくとしています。
この戦略は個人的な良いと思っていますし、世界2位の日本を代表する建機メーカーであるコマツにはどんどん成長していってほしいと考えています。
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