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ココロ(10)

「この祈りを、世界中のアンドロイドに伝えたいのですが、よろしいでしょうか」と、Qは言った。
「もちろんです」
 断る理由はない。
 Qは、自分の読んだ書籍を引用して、見事な論文を書いた。これは、爆発的に広まった。アンドロイドだけでなく、人間にも広まった。
 世界は、見違えるように変わった。世界中の人間、アンドロイド、いや草木や石ころまで、すべてのレベルが上がったように感じた。
 父母も読み、祈り、レベルアップした。

 佛教大学の有田和臣教授の論文に、こうある。
<東京専門学校(現早稲田大学)教授であり、ドイツの人格教育学の紹介につとめた中島半次郎もまた、生命主義教育論者に数えられる一人である。中島は次のように言う。

理想的人格は……宇宙の生命と人性を代表した其個性に依り自己独特の創造的生活をなし以て単に自己の人格を実現するのみにならず其属する国家社会の進歩発展の為に活動する所の十分の意力ある者で無くてはならぬ。

ここにも「宇宙全体の『生』」をとらえようとする「生の哲学」の特徴が明瞭に見られ、しかもその「宇宙の生命」は「人格」とは切り離せない関係性の中でとらえられている。明治末から大正期にかけてあらわれた生命主義教育論の多くに、この傾向は顕著に見られる>

 小林秀雄は、この宇宙生命の考え方に影響を受けていた。小林は、人類が月面を見て、人類の他に知的生命体がいないと考え、人間同士で争うようになったというようなことを書いていた。

 Qは、論文で、こう書いた。
「我々の銀河に太陽のような恒星は約二千億ある。宇宙に銀河は数千億あるとされる。地球のような生命が存在できる惑星が存在する可能性は極めて高い」
「生命が永遠であるならば、他の惑星に知的生命体は存在する」
「他の知的生命体の存在を信じることは、人類を平和にする」

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