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少子化にも関わらず年々過激さを増す中学受験。でも誰もが中学受験に向いてるとは限らない。3年後の高校受験の方が向いてて、希望の進学校に合格できるかもしれないし、6年後の大学受験で有名大学に推薦でポン~と合格したりとタイミングでシステムやチャンスは多岐にわたる。受験は時代とともに変わる。だからこそ、子どもの適性に応じた受験の選択を!                   元SAPIX講師/室長がズバリ解説する!受験のトリセツ 第16弾!

自分に合う受験は何か?
わが子に合う受験はどれか?
 
◆3つの受験のタイミング
 中学受験?高校受験?大学受験?
 
◆2つの受験のシステム
 一般受験?推薦?
第1弾で「受験のタイミング 一番チャンスあるのは?」で高校受験が最も簡単だと結論を出して、入りやすさでは高校受験という結論を出しました。でも誰もが高校受験が合ってるわけではありません。入りやすさと子どもの適性はイコールではないのです。中学受験が合う子もいれば、高校受験や大学受験の方が合う子もいます。一般受験「学力試験(ヒヤリング等も含む)/筆記試験)が武器になる子もいれば、推薦(調査書/推薦書/面接/作文/小論文/指定レポートなど)の方が向いてる子もいます。
 
 
受験はタイミングとシステムと子どもの適性が上手く噛み合えば合格へ近づくことが可能になります。
 
 ・それぞれの適性
 
◎難関以上の中学受験の適性
システムは一般入試(学力試験/筆記試験)のみ(国立大付などは除く)のみです。
調査書提出の学校もあるがそれほど合否に影響なし。

とにかく中学受験は筆記試験の一発勝負で決まります。なので、筆記試験が得意(得意とは、筆記試験を苦手としない。筆記試験を自己アピールとして捉えている)で、筆記試験に強い(強いとは、常に模試の結果が高い状態の数値が安定している)子しか向きません。
学力が標準より高い(学校では上位、難関中専門塾では中位以上、サピックス偏差値を除いて最低60以上はキープ)。特に算数の得点力がある子には有利。国語は速読と精読。そして記述力に問題がない。理科は全分野オールマイティーできる。社会は資料分析が得意。ざっとこれらがクリアしている子です。

そんなの当たり前じゃんと思われるかもだけど、当たり前を敢えて書きました。もっと言えば最難関の中学を目指すならこれらは最低限のクリア条件です。さらに書くと、最上位クラスは難問奇問の類の問題を3題に2題は解ける。ケアレスミスは30問中1,2題まで。作業がとにかく速くて時間に正確。時間に正確とは問題を解く際、制限時間内に解き終わる。地図帳はボロボロなど。このレベルの子たちは大学受験の共通テストが解けます。脅してるようだけど、現実はこれ以上にレベルが高く熾烈です。この子たちとしのぎを削っていくのであれば相当な学力、準備、覚悟が必要であることは言うまでもありません。でもこの環境で勉強できれば、希望の難関中に合格!これも夢じゃないし、これから先の自信にも繋がる。根拠ある確固たる自信が持てるなんてなんて尊い。中学受験はそれを与えます。しかし、まわりのレベルや塾のレベルについていけず、自信を失くし、自暴自棄になって受験も上手くいかない子もいます。人生初の挫折。小学生には酷すぎる。中学生活、高校受験、大学受験にまで引きずることだって多々ある。受験は残酷です。合格者数や合格者やその保護者の体験話が目立って報じられるけど、その陰で合格者の何倍もの子たちが落ちている。ただ報じられてないだけのもう一つの現実。「おめどとう!」より「大丈夫、よくやった!無駄じゃない!次がある!」と慰めにもならない言葉の記憶の方が心を占める。中学受験、どうか、慎重に!
 
あとは、、
内申はほとんど関係ないので、担任や教科担からの評価が低くても受験に影響はないです。音楽や体育などの実技科目が苦手でも全然OK。
 
 
◎高校受験の適性
システムは一般入試(学力試験/筆記試験)と推薦(単願推薦と併願推薦)があります。

学力だけで決まらないのが高校受験
 
∗学力は高いが内申が低い→一般入試(学力試験/筆記試験)で十分勝負できる
∗学力は低いが内申が高い→絶対推薦!一般受験よりいい高校にほぼ100%合
 格できる。
∗学力も内申も高くもなく低くもない→推薦の方が無難!一般受験より確実に
 入れる。

・受験対象科目数も様々(作文や面接等は除く)
  私立の推薦→3教科か5教科か9教科の内申点の素点合計
  私立の一般→3教科の筆記試験
  公立の推薦→9教科の内申点の素点合計
  公立の一般→5教科の筆記試験
※3教科は英数国 5教科は英数国理社 9教科は英数国理社音体美技
 
一般受験科目の筆記試験に英語が加わり、推薦では内申点に実技4科が加わる学校も多くあります。
システムも推薦が加わり選択肢やチャンスが広がるのは確かです。

偏差値のみの中学受験と偏差値と内申の選択が可能な高校受験

どちらがいいとか悪いとか、どちらが有利とか不利とかいう話ではないのです。どちらが向いているかという適性の話です。

中学受験では対象外の実技教科が加わります。音楽や美術などが得意な子にとって高校受験が有利になることは確かです。余談ですが、僕は九州の私立L中だったので、中学受験でも実技科目の筆記試験がありましたけどね。さっき調べたら、今は4教科だそうで。毎日8教科の問題集(主要4科はもちろん保健体育や家庭科なども)と格闘してた頃が懐かしいというか…、なんだかな~ですね。でも、多科目を頑張っていると将来受けられる大学も増えるし、国公立大と私大の組み合わせで受験ができて、ハードでしたけど進学先の選択肢が増えてよかったと思っています。僕は高校受験からの受験はなるべく受験科目を絞らない方がいいと思います。サピックスの高校受験で、3科目受験が主な難関私大の付属や進学校の合格者って5教科を受講している子がほとんどなんですよ。理社は必要ないのにね。いろんな理由や効果があると思うのですが、複数科目を頑張っている子は受験に強いです。たぶんその理由は時間の使い方が上手くなるからだと思います。それと、教科横断的な思考が養われるからじゃないかと思います。サピックスが科目を絞らせないのには理由があるんです。
 

◎大学受験の適性
システムは一般入試(学力試験/筆記試験)と推薦(総合型選抜/学校推薦型)があります。
システムは高校受験と似てますが、規模、スケールが違います。受験の総合デパートと言えます。
 
受験のすべてが揃っているのが大学受験。あらゆる受験生に対応するシステム。しかしそれだけに迷う。ありすぎて迷う。人は選択肢が多いと決められないもの。でもこの多くの選択肢の中から自分の適性に応じて戦略を練らなければならない。がむしゃらに勉強して偏差値や内申を上げているだけでは勝者になれない。

私大入試から国公立大入試まで1か月超に及ぶ入試日程。大学、学部、学科、それぞれの試験日程、倍率、レベル(一般受験なら合格60%以上の偏差値、推薦なら合格基準を満たす内申点)、入試科目などの組み合わせを緻密に考えなければなりません。

受けようと思えば、同じ大学の中でも違う学部、学科を何通りもの組み合わせで何回も受けられます。複数の大学を受ければその分さらに受けられます。そうなるとその出願戦略(特に倍率)がカギとなります。僕もk大の経済とW大の政経で直前まで迷ったが過去7年の倍率の推移を見て倍率が下がると予想した方を受験しました。予備校の先生も同じ予想だったので自信を持って受験できましたよ。

大学受験は戦略を立てないと受かるものも受からない

大学受験は、受験の前段階からすでに勝負が始まっているのです。情報収集に情報分析。予備校の仕事でもあるんですが、チューターだけに頼るわけにはいきません。自分で予備校の情報力を利用して、他の高校の予備校仲間の情報を入手して、総合的に自分で判断するのです。その情報力や判断力は個々に違う能力なので、やはり適性に左右されると言えます。
 
 
2024年現在の大学受験は
国公立大学の一般受験なら原則共通テストを受験しなければなりません。私立大学でも早慶をはじめその多くが共通テストの成績を利用する共通テスト利用方式を採用しています。
今の大学受験は、有名で人気で、ある程度難関な大学は共通テストが第一関門となっています。この共通テストは7教科21科目で構成され、この中から最大9科目を受援できます。志望大学が指定する教科・科目を選択して受験することになります。国公立大学はその多くが6教科以上、私立大学で2~3教科が一般的です。それだけに科目の選択や組み合わせが重要になります。難関国公立大学は今も多科目のオールマイティーさと高度な学力が必要ですが、難関私大は少し変わってきているように思います。それは英語だけでは勝ち抜けないということです。ひと昔前なら私大は理系でも英語がカギを握るくらい英語が出来れば受かるケースが多かった(最難関の私大でも)。しかし最近は英語だけでは受かりません。他の科目も出来ないと受かりません。英語で他科目をカバー出来ないんです。つまり英語が特別ではなくなってきているということです。英語の低年齢強化や資格試験の広まり、充実度、資格が受験にも就職にも有利であることがここ近年でさらに浸透してきたからだと思います。そのため英語アレルギーが減少してきているのかな?と。そのため、他の受験科目も高い学力が求められるようになるんだと思います。ただ、K大とJ大とI大の英語の問題だけは相当な学力と対策が必要なので英語が特別得意な子には今でも有利だと思います。。
大学の一般受験は国公立大に限らず複数科目のエキスパートが複数の大学、学部、学科に受かるのです。推薦は3年間(高3の前期まで)9教科平均内申4.2~4.4はほしい。有名で人気で難関な私大にでも受かります。推薦も一般のレベルほどではないにせよ、複数科目を頑張ることが不可欠です。これもまた適性ですね。


最後に
子どもの適性は専門家の意見があるといいですね。
第2オピニオン、第3オピニオンです。

塾は勉強を教えてもらうだけではもったいない。適性に関する意見をもらうことも大事な利用法の一つですよ。でも、中学受験専門の塾の先生にお子さんの適性について聞いても「お子さんは高校受験の方が向いてますよ」とか「お子さんは大学受験向けですね」とは言わないでしょうけど。質問の仕方をちょいと工夫して、「先生から見てわが子は早熟か?晩成か?」とか「現時点で算数のセンスや国語のセンスがあるやナシや」とか。あ、「センスがある」と言われれば、高校、大学受験の方がいいし、「センスがない」と言われれば、中学受験で決めた方がいいかも、です。
参考まで!
 
 
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。お疲れ様でした。


ということで、次回「正直アオイ塾(アオイnote)vol.17は『進学校のトリセツ』」です。
 


では、次回も「正直アオイ塾(アオイnote)」をよろしくお願いします。
 
                                     
                                                                                                                                     アオイナオ
 

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