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その他、書評やエッセイ

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哲学や文学、科学といった本の書評、映画や格闘技などの雑記、エッセイをまとめています
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2024年3月の記事一覧

私たちの世界はマトリックスの世界なのだろうか

 1999年に登場した映画『マトリックス』は、人類が現実だと思っている世界が実はコンピュータによって作り出された「マトリックス」と呼ばれる仮想世界であり、本当の現実世界での人間たちはコンピュータに支配され、眠らされているだけなのだという世界観を示し、話題となった作品である。 『マトリックス』が出るよりも以前に、批評家の柄谷行人は『内省と遡行』において、形式化を徹底した先には決定不能性しか残らないという問題に取り組んでいた。柄谷は病に取り憑かれていたかのごとく、世界の形式化に

宇宙は無数に存在する!?〜現代宇宙科学はどこまで行くのか~

PIVOTで配信された【宇宙は無数に存在する】UCバークレー 物理学者が完全解説がめちゃくちゃ面白かった。ゲストは野村泰紀先生。米カリフォルニア大学バークレー校教授の物理学者である。 私は昔から、宇宙論は大好物で、数学や物理学はまるでダメだが、最先端の宇宙理論などには惹かれてしまう。新書での宇宙関連の本も読んでいたし、科学雑誌『Newton』は定期購読していた。スカパーに加入してディスカバリーチャンネルやナショナルジオグラフィックも見るのが大好きだったのである。 マルチバ

働くことと書くこと 令和Ver

 今年に入って3月、第56回新潮新人賞への応募原稿を投函した。締め切りまでの3か月間の週末は、ほとんど作品への追い込みに時間をかけてきたので、ようやく開放されたというか、重石のようなものが取れた気分である。その縛り自体が心地よくさえもあるのだが。  これまで10年近く中断していた創作を再開してから、4年目・4本目の作品の投稿である。枚数は215枚。毎年、中編または長編を1本必ず投稿、というのをノルマにしている。  本業の方でも、4月からは新規事業の責任者となり、こちらも重