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宗教や信仰についての雑記 #191

◯悪魔の存在(※映画のネタバレあり)

前回、「悪魔の代弁者」ということについて書きましたが、その言葉を聞いて、以前見た「エミリー・ローズ」という映画を思い出しました。(ここから先ネタバレあります)

この映画は、悪魔に取り憑かれたエミリー・ローズという女子大生の悪魔祓いを描いた作品で、実話を元に作られたものだそうです。
その最後の方で、エミリーが聖母マリアに出逢います。そして聖母から2つの選択肢を示されます。
それは、肉体を捨てて一緒に来るか、それともそのままでいるかというものでした。
そのままでいれば苦しみは続くでしょうが、エミリーを通して多くの人が霊界の存在を知ることになるというのです。
エミリーは後者を選びました。それには悪魔の存在を世に知らしめるという役割があります。エミリーはなおも苦しむことを承知でその役割を果たす道を選びました。

この映画は、悪魔祓いを行った神父の過失致死の罪を問う裁判を描いたものですが、その主題は、判決内容や悪魔祓いの是非ではないように思います。
エミリーは死の直前に手紙で、「人は神は死んだと言うけれど、身を以て悪魔を見せればそんなことは言えないはず」と書き遺しています。
遠藤周作氏によれば、悪魔とは実体を持つものではなく、「信仰の無」のことなのだそうです。
この映画の主題は「神は死んだ」という見方へのアンチテーゼなのではないでしょうか。
そして悪魔に取り憑かれたエミリーの姿は、信仰を失った現代社会のメタファーのような気がするのです。

でもこの場合の「信仰」とは、どのようなものを意味するのか。おそらく我々は、それをよく考えなければならないのでしょう。

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