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宗教や信仰についての雑記 #142

◯賢者の石②

今回は前回の投稿の続きです。

中世ヨーロッパの錬金術師は、鉛などの卑金属を金に変えようとしたり、不老不死の薬を開発しようとしたりしましたが、結局それらを生み出すことはできませんでした。
彼らが求めていた賢者の石は幻だったようです。

しかし錬金術師たちが様々な試行錯誤を繰り返したことがその後の、化学、医学、薬学、技術、思想などの発展に寄与したそうです。
そういう意味では賢者の石とは導きの星だったのかもしれません。

地上に何の目印もない砂漠をゆくキャラバンは、夜空に輝く星を目印にしたそうです。
星そのものに到達することはできないが、その方向へ向かってゆけば目的地であるオアシスにたどり着ける。賢者の石とはそのようなものだったのだと思います。

宗教やスピリチュアリズムが目指すものは、もしかしたら幻のようなものかもしれません。
煩悩や原罪を抱えた我々はそこにはとても到達できないけれど、そこを目指して歩んでゆけばオアシスのような境地にたどり着けるかもしれない、そのような希望が人々には必要なのでしょう。
目指したものに到達できなかったとしても、その道行きは決して無駄にはならないという希望です。

心身共に有限である我々が、その有限さに悩み、迷いながら日々歩いてゆく、そのことの中にこそ賢者の石があるのではないかと、そんなふうに思えるのです。

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