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宗教や信仰についての雑記 #174

◯奉行

先日、勘定奉行という会計ソフトのCMを見て、ふと、「奉行」という言葉が気になりました。

奉行とは、ご存知の通り、平安時代から江戸時代にかけての武家における職名の一つです。
この言葉は元々、仏の教えや上司からの命令を奉じてそのことを執り行うことを「奉じ行ふ=奉行する」といい、動詞であったが、その後、その担当者のことを言うようになったとのことです。

現代では神社の祭礼や鍋料理の席、政治の世界などで「奉行」という言葉が比喩的に用いられているようです。

仏教の中でこの「奉行」という言葉が用いられているものに、「衆善奉行」というものがあります。これは七仏通誡偈(しちぶつ つうかいげ)の中の一節です。
七仏通誡偈とは、仏教で釈迦以前に存在したとされる6人の仏と、釈迦を含む7人の仏(過去七仏)が共通して説いた教えを一つにまとめたとされている偈だそうです。その内容は、

・諸悪莫作(しょあくまくさ) ― もろもろの悪を作すこと莫(な)く
・衆善奉行(しゅぜんぶぎょう) ― もろもろの善を行い
・自浄其意(じじょうごい) ― 自ら其の意(こころ)を浄くす
・是諸仏教(ぜしょぶっきょう) ― 是がもろもろの仏の教えなり

というものですが、このようなことは仏教だけでなく様々な宗教にも共通することだと思います。
しかしこの「諸悪莫作 衆善奉行」という言葉は、その昔「3歳の子供でも知っているが80の老人でも行い難い」と言われたものです。

なぜそれほど行い難いのでしょう。そこには「奉行」という言葉の中の「奉じる」ということが関わっているようにも思えます。
少し長くなりそうなので、この続きは次回にしたいと思います。

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