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〈小説〉青い目と月の湖

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長編小説なのでこのマガジンにまとめています。 とはいえ『腐った祝祭』ほど長くはないです。 魔法使いと呼ばれる男が出てきます。
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#少年

小説|青い目と月の湖 1

 その城は、湖の中にあった。  湖は、森の中にあった。  人の通らない森の、中心にある湖の…

mitsuki
2か月前
20

小説|青い目と月の湖 7

 大人のくせに喜んで揚げ菓子を食べている魔術師を、ハンスは冷めた視線でじっと見ていた。 …

mitsuki
2か月前
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小説|青い目と月の湖 12

 クロードは川岸の野原を歩いていた。  両岸に張っていた氷も、雪も、すっかり溶けていたが…

mitsuki
2か月前
9

小説|青い目と月の湖 13

 ハンスのおどおどした様子と、遠慮がちな物言いが、以前の彼の言葉に繋がった。 「まさか、…

mitsuki
2か月前
10

小説|青い目と月の湖 14

 息苦しさに、クロードは足を止めた。  クマザサやニリンソウなどの群生にたまに出くわし、…

mitsuki
1か月前
10

小説|青い目と月の湖 17

 ノックの音でドアを開けると、ハンスが溢れ出しそうな笑顔を上に向けていた。  その頭の後…

mitsuki
1か月前
7

小説|青い目と月の湖 18

 ハンスの話しによれば、彼女が母親以外に出会った初めての人間がハンスだったのだ。  クロードは二番目だ。  他人との会話に慣れていない彼女には、長ゼリフ過ぎたようだ。  クロードはマリエルを慌てさせないよう、落ち着いた様子を心掛けてその返事を待った。 「その、文書として、残っている訳ではありません。当家の歴史書、歴代史のようなものはありません。言葉通りの言い伝えです。私は母から聞き、母は祖母から聞いたんです。自分たちが魔女の一族であること。湖に守られていることを」 「君は先

小説|青い目と月の湖 20

 私にも素朴な疑問があると言って、マリエルが伸ばした手を、ハンスは半ば驚いて見上げた。…

mitsuki
1か月前
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小説|青い目と月の湖 27

 思いがけず、ドアは音もなく開いた。  どうしてそこにクロードがいるのか、ハンスには理…

mitsuki
3週間前
10