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〈小説〉青い目と月の湖

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長編小説なのでこのマガジンにまとめています。 とはいえ『腐った祝祭』ほど長くはないです。 魔法使いと呼ばれる男が出てきます。
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2024年4月の記事一覧

小説|青い目と月の湖 7

 大人のくせに喜んで揚げ菓子を食べている魔術師を、ハンスは冷めた視線でじっと見ていた。 …

mitsuki
2か月前
4

小説|青い目と月の湖 8

 エレンが、ハンスとそっくりな大きな瞳を見開いていた。  クロードはそれに、曖昧な微笑で…

mitsuki
2か月前
4

小説|青い目と月の湖 9

 食糧を運ぶハンスのために、役場はジョルジオ農園から一頭の馬を借りてくれた。  エレンは…

mitsuki
2か月前
6

小説|青い目と月の湖 10

 ハンスはいつも以上に馬を速く走らせていた。  母親には用心の為にゆっくり帰って来たと言…

mitsuki
2か月前
7

小説|青い目と月の湖 11

 ハンスはずっと少女を目で追っていた。  少女といっても、ハンスより年上なのは明らかだ。 …

mitsuki
2か月前
10

小説|青い目と月の湖 12

 クロードは川岸の野原を歩いていた。  両岸に張っていた氷も、雪も、すっかり溶けていたが…

mitsuki
2か月前
8

小説|青い目と月の湖 13

 ハンスのおどおどした様子と、遠慮がちな物言いが、以前の彼の言葉に繋がった。 「まさか、彼女」  ハンスは決心するように頷いた。 「月の湖の、彼女だよ」  クロードは肘をテーブルにつき、その手で額を覆った。 「何てことだ」 「でも、変じゃなかったんでしょ?クロードが見ても、普通だったんでしょう?ほらね。彼女は普通の人なんだよ。魔女なんかじゃないんだ。みんな誤解して」 「いつから会ってるんだ」 「……去年の、冬」  クロードはあきれて顔を上げる。 「あの湖に行ったのか」 「うん

小説|青い目と月の湖 14

 息苦しさに、クロードは足を止めた。  クマザサやニリンソウなどの群生にたまに出くわし、…

mitsuki
2か月前
9

小説|青い目と月の湖 15

 マリエルは湖の西岸に広がるスミレの野原を歩いていた。  小さな黄色いスミレの花が咲き始…

mitsuki
2か月前
8

小説|青い目と月の湖 16

 マリエルは恐れながらも、クロードの傍に近付いた。  そして、ブルーグレーのドレスが汚れ…

mitsuki
2か月前
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小説|青い目と月の湖 17

 ノックの音でドアを開けると、ハンスが溢れ出しそうな笑顔を上に向けていた。  その頭の後…

mitsuki
2か月前
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小説|青い目と月の湖 18

 ハンスの話しによれば、彼女が母親以外に出会った初めての人間がハンスだったのだ。  クロ…

mitsuki
2か月前
13

小説|青い目と月の湖 19

 湖の真上の空は、珍しく透き通った青をしていた。  ちゃぽん、ちゃぽんと、時おり舟を打…

mitsuki
1か月前
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小説|青い目と月の湖 20

 私にも素朴な疑問があると言って、マリエルが伸ばした手を、ハンスは半ば驚いて見上げた。  マリエルが積極的に自分から発言するのは初めてのことだったからだ。  いつものように机の椅子に座り、テーブルの方へ体を向けていたクロードが、右手をすっと差し出して言った。 「はい、どうぞ」  マリエルはニコリと笑って、ハンスに言う。 「ハンスはよく私と遊んでくれるし、ここに食糧を運ぶ仕事もしてるけど、学校にはいつ行っているの?」 「学校?」  ハンスは顔をしかめ、クロードの顔をチラッ