巡回群の部分群について

今回は群論について。

Galois理論のところで群論が出てくるのだが、そこで巡回群が出てきて、今まで考えてなかったがおかしいところがあったからまとめてみたい。

まず用語の復習

巡回群とは生成元が1つの群

例えば整数の集合Zは群であり(チェックは簡単)、さらに1で生成される。
よって巡回群

1に1を足したり引いたりすることですべての整数を作れる。これが生成するイメージ。
もちろん-1も生成元-1に-1を足したり引いたりすれば全ての整数を作れる。

では2は生成元だろうか?
答えはもちろんnoである。
2に2を足したり引いたりしても偶数しか作れない。

では置換群S3は巡回群だろうか?
これは試せば分かるがnoである。

mod nの世界はどうだろうか?
これは1で(もしくはn-1で必ず)生成できるので巡回群。

さて、そんな巡回群について大切な命題があり、それが

巡回群の部分群はまた巡回群というもの。

これを今まで私は(ほぼとあるネットの情報を頼りに)

Gはaが生成するとし、Hをその部分群とする。
a=e=H=Gなら自明。そうでない時、つまりa≠eのときは、あるHの元hが存在し、h=a^kと書け(kは整数)特にkをh=a^kを満たす自然数で最小のものとすると、<a^k>⊂H
で、逆にHの任意の元はa^mの形で書け(mは整数)、m=kq+r (qは整数,0≦r<k)
で、故にa^r=a^m×a^(-kq)∈H
よってr=0で故にH⊂<a^k>となり
H=<a^k>で確かに巡回群。

さて、この証明では厳密には示せてないと思う。

それはほんとうにそのような最小なkを取れるの?ということ。

そしてこのままでは取れないことは簡単に示せる。Zは1で生成すると先程述べた。
ところでここにきてだがZを群と見る時は演算は和である。
よってa^kはk×aと読み替える。

これに注意して、-2はHのある元で、(-2)×1と書ける。(Zの単位元e=0に注意)
さて、この時k=-2なわけだが、この時kを自然数に出来るだろうか?

もちろん出来ないはずだ。

ところで2は-2の逆元で、2=2×1と書ける。
群が逆元を含んでいるから
こうすれば2はHの元でkは自然数にできる。
よって最小が存在すると言える。

では-1を生成元にすればk=2では?という話だが、それでは2を取ってきた時に同じ議論になる。
つまるところ、本当に最小を取ってこられるか?という議論をすっ飛ばしていたように思う。
(今回はZという身近なものだったのでそこまで問題にならないかもしれないが、もっと複雑な群を考える時には重要になってくるはず)

もしGが有限巡回群ならそのような心配はないだろう。
でも一般に有限とは限らない。そもそもZが無限であるし。

あとがき的な

まあ数学科の証明なんてネットで調べても本で調べても出てこないこともあるから何を今更...という感じかもしれない、笑

さて、最初の証明ではあるhを〜と書いてあるが、ここで上手いhを取ってくるというニュアンスを含んでいるとすればまあその通りなのだが、それだと不十分に思える。
もし最小性の議論をしたくないなら有限巡回群と明記するべきだと思う。
一般の巡回群で示したいならそこはしっかり書くべきだ。
まあ昨年の私は気付けなかったのでそんなに偉そうに言うことでも無いが...

昨年の今頃は群論の授業を受けていたわけだが、「こんなものどこで役に立つの?」と先輩に聞いたりしたな〜と思い返す。
幾何で基本群の勉強をした時に「こんな風に役に立つのか!」と感動した。
今は何をやっているか意味不明でもあとあと役に立つので是非楽しんでください!

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