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ようこそアリカツ(蟻の飼育活動)     ⑩ クロオオアリ飼育のQ&A

「ようこそアリカツ」の記事をご覧くださり、ありがとうございます。ここで、クロオオアリの飼育に関してよく私の元に寄せられる質問にお答えします。

質問:アリが外に逃げてしまうことはないのですか?

回答:外に出てしまうことはあります。ただ、飼育ケースで飼っている場合、外に出てしまうのはほぼ人間側のミスで、蓋のしめ忘れや世話をするときにピンセットや餌の皿にアリがくっついていることに気づかず、外に出してしまうことです。アリは好奇心で外に出ているので、出てしまったらまずは脅かさず、落ち着いて行動を見守ります。巣自体がケースの中にあるので、探索が済むと基本的に巣に戻ろうとします。アリが巣の近くに戻ってきたら、穴からそっと中に落としたり、ケースの内部の床に数回擦り付けたストローや割り箸をそっと近づけます。アリはケースの内部の匂いを覚えているので、登って来ると思います。それを巣の中に差し入れ、トントンと軽く叩いて落とします。

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質問:アリは人に慣れますか?

回答:慣れません。人間側がアリに慣れる必要があり、私たちは触らず見守ります。よく観察していると次第に蟻の行動がなんとなく読めるようになり、アリたちの隙間をぬってピンセットを入れるタイミングなどはわかるようになると思います。アリは空腹状態等もわからないので、餌は見計らって入れます。なお、満腹になれば食べないので、金魚などのように食べ過ぎで太るなどということはありません。アリが食べようとしていた餌を取り上げると、怒りの表情は見せます。

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質問:アリは何年くらい生きますか?

回答:女王アリは、最大10年程度生きるものもいるそうです。筆者のところでは、現在5年飼育しているものがおります。女王が死ぬと巣は子孫が生まれなくなって拡大できなくなり、次第に数が減って死滅するはずですが、稀に女王に代わって卵を産む個体もいるようです。筆者のところでは、女王死亡後のコロニーで卵が産まれているのを実際に確認したことがありますが、残念ながら育ちませんでした。

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質問:アリが増えて巣がいっぱいになったら、どうするんですか?

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アリが増えてスペースがなくなったり、巣が著しく汚れてしまった場合などは、ケースの増設や引っ越しが必要です。例えば古い巣と新しい巣をホースでつないで、蟻の自然な引っ越しを促す方法があります。クロオオアリは湿度の低い巣よりも湿度の高い巣を、明るいところにある巣よりも暗いところにある巣を、それぞれ選ぶ傾向があります。その習性を利用し、古い巣の環境を悪くし、新しい巣への移転を図ります。しかしアリ次第という面もあり、移動は順調にいきませんので、研究の余地があります。一番手っ取り早いのは巣を解体し、アリを一匹一匹新しい巣に強制移転させることです。移す時はアリも多少は混乱状態になりますが、新しい巣の環境さえ整っていれば、また次第に落ち着き、新しい生活が始まります。

質問:どんな飼育ケースを選べばいいですか?

 飼育ケースはいろいろな種類がありますが、ここでは扱いやすいものだけご紹介します。クロオオアリを飼育する際に何を重視するかにもよりますが、長く飼育するためには保湿と汚れの目立たなさ、拡張性がポイントだと思います。

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このタイプのアクリル製の巣はとにかく蟻が観察しやすく、写真も撮りやすいのが特徴です。また、動かしやすく扱いやすいです。水はスポンジに染み込ませて保湿に充てます。この巣の欠点としては、巣の内部の汚れが非常に目立つことです。1〜2年で下の写真のように茶色くなります。臭い等はありませんが、見た目が悪くなり、事情を知らない人が見ると不潔に見えます。アクリルに色が入っているものも販売されていますので、それを選ぶのも手かもしれません。

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石膏の巣も、飼い始めは真っ白ですが、いずれは茶色・黒い部分が目立つようになります。

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 筆者が現在クロオオアリ飼育に使用しているのは、主に試験管タイプのものです。これは巣の汚れが目立たず、保湿にも優れています。また、拡張性が無限のものもあります。蟻の巣の内部の見やすさやアリの巣の小部屋の見た目は、アクリル製の巣と比較すると劣ります。また、試験管はガラスなので、破損には十分に気をつけなければなりません。

 こちらでご紹介した飼育ケースは、いずれも中国製で通販で入手したものですが、日本国内にもいくつかの専門店があり、ケースを販売しています。そちらも飼いやすくできていますので、併せてご覧いただければと思います。

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