見出し画像

こだわるアリカツ(アリの飼育活動+α)①ゼリーの巣の飼育経験

 夏休みの時期になると、自由研究用のさまざまな教材が売られるようになります。その中に大抵、ゼリーを使ったアリの観察キットがあります。初めからゼリーが入っているもの、電子レンジでゼリーを自作するものなどいくつかの種類があります。筆者は10回程度ゼリーの巣を使ったクロオオアリの女王の飼育に挑みましたが、結論から申し上げると私の下では全てうまくいきませんでした。ゼリーの巣でクロオオアリを長期的に飼育するのは、難しいと言わざるを得ません。

 こうした商品の特徴として、ゼリーが餌の代わりになるので餌をやらなくてもいいということになっています。しかし、全体の傾向として、ゼリーに入れて飼育していると、アリの増加の勢いがたいへん鈍く感じました。一応働きアリは何匹か生まれてコロニーにはなりましたが、動きも悪く感じました。そのため、ゼリー以外の餌を与えてみると反応しよく食べましたが、食べ残しやゴミがゼリーに埋もれてしまうなどして、巣の中の衛生環境を保つのが難しくなりました。また、アリの卵や幼虫をアリ自身が食べてしまい数が減り、巣の成長が見込めなくなりました。巣穴も、ゼリーの巣のパッケージの写真のように縦横無尽に掘られることは少なく、壁に沿って数本掘られるにとどまりました。

 下の写真は中国から取り寄せた、ゼリーとプラスチックのハイブリッドとも言える巣を使用した時の写真で、ゼリーの他にプラスチックでできた狭い空間もあり、双方のいいとこ取りという雰囲気の巣でしたが、アリたちはゼリーの奥にとどまり、プラスチックの部分には出てきませんでした。

画像1

画像2

画像3

画像4

 筆者は最長で約3ヶ月飼育しましたが、諦めて最終的にゼリーを掘り、アリを掘り出して別の巣に移しました。その年は働きアリが十匹程度しか増えず、他の巣の半分くらいでした。しかし、環境を変えたところ翌年以降再び増加し、3年くらいで一般的なコロニーに回復しました。

 ゼリーの巣は、あくまで自由研究等で、地上を歩いている働きアリを数匹捕まえて入れて、短期的に観察するだけのためのものと思われます。クロオオアリなどの女王アリを入れ、コロニーの成長を長期的に観察するには不向きなようです。

 ゼリーの巣は、「アリを飼っている」と誰かに言うと、「ああ、ゼリーのやつね」と言われることがあるくらい、よく知られたツールです。見た目も綺麗ですのでつい手を出してしまいそうになりますが、こだわるアリカツをする上では相当のテクニックを持ってしないと難しいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?