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ようこそアリカツ(蟻の飼育活動)     ⑦ クロオオアリをケースにお迎えする準備

 女王アリと飼育箱がそろったら、すぐにでもアリを入れて飼育したくなりますが、もう少し準備をしてからにしましょう。

1.道具をそろえる

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筆者がクロオオアリのお世話をするのに使用している主な道具は、ピンセット、スポイト、蟻のエサをのせる皿、細めの筆です。ピンセットは掃除や餌やりに、スポイトは保湿用の給水に、筆はアリの卵や幼虫を動かすのに使ったり、アリが壁を上らないようにする薬を塗ったりするのに使います。筆者はピンセットは20センチくらいの長めの金属製のものを使用しています。アリの餌を載せる皿は、弁当のソースを入れる小瓶のフタを使っています。アリの飼育ケースを買うと付属している場合もあります。液体の餌は必ず皿に入れるようにし、飲み残しは撤去して皿を洗います。個体の餌もアリが運べる大きさにした上で、皿に盛ったほうが衛生的です。生のイカや貝などを与えた場合、時間が経つと乾いてしまい、強い臭いを発します。飼育箱の床につくと、なかなか取れません。

2.飼育ケースの壁を蟻が登れないようにする

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 アリは垂直のガラスの壁でも登ることができます。女王アリは重いので壁を登るのは難しいですが、働きアリは対策をしなければ飼育ケースの壁を簡単に登り、天井も自由自在に歩き回ります。すると、世話の時にフタを開けると出てきてしまうことがあります。それを防ぐため、飼育ケースの壁の上の方に2センチくらいの幅でベビーパウダーやタルクを水に溶いたものや、フルオンという液体を筆で四方に塗りつけます。完全に乾燥すると、アリは滑ってそれ以上登りにくくなります。ただアリは諦めずに登ろうとし続けるので、次第に剥がれ落ち、効果が薄れ、アリが上部に達してしまうことはありますので、適宜重ね塗りします。瓶で飼育する場合も、上の方に塗りつけます。乾くと下の写真のように、白くなります。

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3.巣に保湿用の水を入れる

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 クロオオアリの飼育に保湿は欠かせません。ケースに初めてアリを入れた時は、アリたちは数日かけて箱の中を詳しく調査し、そのうちにケース内の一番狭くて湿度のあるところに落ち着きました。試験管タイプのケースの場合は先端に水を入れ、ガラス内の石膏の色の変化で水が巣に行き渡ったかどうかを確認します。巣が石膏でできていて直接注水するもの、巣に付属しているスポンジに注水するものなど複数のパターンがあります。自然のクロオオアリは地面に穴を掘って暮らしていますが、地面は数センチ掘るとかなりの水分を含んでいます。クロオオアリがそういった場所に住んでいることを考え、湿気で巣が多少曇るくらいの湿度を維持するよう心がけると、失敗がないようです。

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