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【超ショートショート】「四次元の子宮」など

「四次元の子宮」

もしドラえもんが猫型ロボットではなく
「カンガルー型」ロボットだったら、
母性本能の赴くまま
のび太を四次元ポケットに詰め込むだろう。

のび太は四次元空間を彷徨い
宙を漂う「どこでもドア」から脱出を試みるが、
ドアを開けた先には入浴中のしずかちゃんを
仕留め終わったドラえもんがいる。

ドラえもんはお仕置きと称して
のび太に「バイバイン」を使い、
無限に増え続けるのび太を
1人残らず四次元の子宮に閉じ込めるのだ。

そして球状の手で腹を撫でる。

内側でポコポコと生まれ続けるのび太に
次のように話しかけながら。

「君のような生まれながらの弱者男性は、
社会ではとても生きていけないよ。

だから安心して居るべき場所に居ればいい。

僕は君がしずかちゃんと結ばれるために
21世紀の未来からやって来たけど、
君は単為生殖できるからパートナーは必要ないよね。

僕以外には。」


「外の人」

その人の生活圏には輪郭に沿って壁が立てられていた。

その人は壁の外にも人が住んでいると知っていたが、関わることがないために関心を持たなかった。

ある日、壁に窓が作られた。

向こうには人が立っている。

その人は食い入るように眺め続けた。

恐怖と暴力衝動に目覚めかかっていた。


「知り合い?に会うHSP」

飛行船は遠方に一羽の鳥を発見した。

どうやらこちらに近付いて来ているらしい。

少しして目の前まで来た鳥は飛行船に言った。

「久しだね!」

「た、確かに…」

話を合わせたものの、飛行船は鳥を覚えていなかった。

鳥は親密そうに挨拶のキスをした。

飛行船は破裂して落下してしまった。


「人と人の関わり方」

今まで人生を共に歩いた人は3人です。

1人目とは二人三脚で歩きました。

歩幅の異なる私達はよく足がもつれ、私は無理に相手に合わせ疲れ果てました。

2人目とは各々のペースで歩きましたが、気が付くと相手に置き去りにされていました。

3人目とは適度な距離を取って並んで歩いています。


「承認欲求を満たすためにSNS上で過激な言動をするトー横キッズ」

媚薬を盛られ発情し異性を呼び寄せるために川辺で煌々と光る蛍達の中、

同じく発情しつつも発する光が周囲の光に埋没するほど弱々しいため、

性欲が発散できず肥大化し、

それを解消するために自らの体に火をつけ、

その輝きで注目を集めようとするが一瞥されるだけで相手にされない蛍の幼虫。


「自分を実在する有名人に重ねて承認欲求を満たす人」

スポットライトを浴びているトラを着ぐるみにして中に入り、

トラに向けられる称賛、羨望、嫉妬を自分への評価と前向きに錯覚して楽しむが、

スポットライトに照らされなくなった途端、

トラを脱ぎスポットライトを浴びている他のトラを着ぐるみにして入る、

本来の姿では見向きもされないキツネ。


「老い先の短さへの焦燥感から、時間を持て余す若者に憤る老人」

男根の先端に命の火が灯っている。

男根は熱によって時間が経つ程に溶け、短くなっていく。

すっかり短く歪になり、今にも命の火が消えそうな男根の持ち主は、睨む。

視線の先には長い男根の持ち主。

「その内にやる」と言うが、何も照らさず、何かを燃やして楽しむことさえしない。


読んでいただきありがとうございました。
ありがとうございました。読んでいいただき。
いただきました読んで。ありがとうございました。
読んでましたましたありがとうございいただき。
いただありが読んましましでたたとうござ。き。

挨拶


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