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祖母の葬儀のその後

祖母の葬儀から帰ると私は夫を責めた。
「どうして私が母のトイレ介助に行っているときに香典袋を出してくれなかったの」
それに私の車に父や母が寝る時に寒くないように毛布や、色々と考えて用意してあったのにその車を家に置いてきたのも気に入らなかった。
「言わなくちゃわからないよ」
「それくらい言わなくてもわかってよ」
私は怒り続けた。
これまでのストレスを夫にぶつけてしまっていた。
夫にしたら八つ当たりだと思う。
「ママ疲れてるんだよ」
娘の一言でちょっと冷静になれた。

   毎週のお参り

それでもゆっくり休む気持ちにはなれなかった。
なぜならすぐに初七日がやってきてそれから毎週お参りがある。
私は毎週通って掃除をして、おりく膳を用意した。
ちょうど土曜日だったので兄も毎週きた。
神経質な兄は私が掃除した後も掃除した。
私をもっと疲れさせたのは花だった。
葬儀の時にお供えされた大きいアレジメントが
4個もあった。
まず仏壇の水を換えて枯れた花を取り除く。
アレジメントも父が水をあげなかったりしてどんどん枯れていくのを取り除いて隙間があくのがみっともないので差し直してまとめていった。
それがすごく時間がかかって大変だった。 
本来、私は花は好きだったけどその時は見たくもないくらいだった。

  心理カウンセリングへ

49日を迎える頃には自分でも抱えきれないストレスが溜まっていたと思う。
誰かに聞いてもらいたいけど、身内のことをあまり同僚や友達に聞いてもらう気分にもなれなかった。
それに何かのきっかけで泣いて止まらなくなりそうだった。
このままでは鬱になってしまうかもしれないと思った。
そこで私は心理カウンセリングに行くことにした。
車で1時間ほどの場所にある。
誰にも言わないで行ったけど夫には家を出てから話した。
夫は驚いて戸惑っている様子だった。
やはり話さなければよかったと思ったけど内緒にはできない状況だった。

カウンセラーの女性は少しぽっちゃりした親しみやすい印象の女性だった。
コーヒーを入れてもらって少し世間話のような話をした後、私は葬儀一連の話をした。
ベラベラと感情のままに話すかもと思ったけど違った。
溜め込んだストレスは心に重く固まっているようだった。
それを絞り出すように淡々と話した。
母の介護、夫のこと、兄の不満、親戚の何気ない言動。父の体の心配
涙ぐむことはあったけど泣くこともなかった。
カウンセラーの女性は
私の話を聞いてくれ、時には
「それは大変だったね」
などと声をかけてくれた。
そして
「相当疲れているんじゃない?」
と言って軽く肩を揉んでくれ
「やっぱり肩もガチガチに固いね。もう色々考えて頭も疲れてるのね」
と言われた。
「疲れてる、、、そうか私は疲れているんだ」
やっと自分でも気づけた気がした。

ネットの口コミでは
「色々話を聞いてくれてスッキリしました」
と書いている人がいた。 
私はスッキリとまでいかなかった。
でも、話を聞いてくれたのはありがたかったし
「私は疲れている」
と気づけた。
というか、自分でも気がつかないくらい実家のことで神経をすり減らしていたと思う。
それから、意識的に体を休めた。
その時期は時間があればゴロゴロして過ごしていたと思う。
そのうち体の疲れと共に心も回復していった。  

今も実家のことで疲れることはしばしばあるけど、自分を労わってストレスをため込まないように心がけている。

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