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こんな夜は~あなたと


夜空をみようと思って 戸を開けたら きみがいた

お隣りのウッドデッキに寝てたんじゃないの?
ん?
そうね
勝手口の電気に誘われたのか。。
ふふ。
なに してた?
ん?
ひとって
 誰かに聞いてほしいときあるんだ
なにも言わなくていいの
ただ
そっと そこにいて聴いてくれればいいの

知らない

ええ?

失礼します

ねえ


かえるの合唱の代わりに 虫の合唱だね。
マツムシとか鈴虫とか。
狂ったようにもえた昼間の熱は 鎮まって やさしい風が吹くね
こんな夜
話したくなるんだ。
いろんなこと。
かあさんのこと。
とうさんのこと。
大切なひとたちのこと。
遠く 遠くの空の星になったけど
いつも見ててくれる。
いつも そこにいてくれるの
変わらずに。

昼間だって いるんだよ
見えないけど。。。

いつだったかな
随分 昔のこと
職場の女性管理職が言ってたこと思い出した
45歳くらいの時かな
おかあさんと二人暮らしだった。

なにか言うと、母がいうんです。
「あなたも この歳になればわかるわよ」って。
そして 段々わかってきました。
出来てたことができなくなったり 見えてたものが見えづらく
なったり。。

そりゃ 情けない思いをするもんよっていうんです。

にゃ

そうそう。なんかね 切なくなる時があるの。
 がくっとね。あるのよ。

にゃ

ん?きみも?

にゃ。

そっかあ。。そうだね。この夏は厳しかったね。。
とうとう さびちゃん 見なかったよ。
きみの後ろについて 我が家にきてた人懐こいこ。
きみの実家に まだいるのかな。。会えたらいいね。。
時々 きみは 後ろを振り向いてみるものね。
風が吹くだけだけど。

会えたらいいね。

にゃ。


お星さまがたくさんだね。
ああ かあさんの大根の煮たの、食べたいな。
今頃は 里芋掘って煮てたかな。
「栗がとれたよ」って 送ってきてたな。
栗ご飯おいしかったよ。。
なんか 思い出すね。でも 段々 遠くなったりした。
近くもなった。
ふと
隣をみたら 居てて笑ってるの。
おかあちゃん、って呼んだら 笑うの。
 変わらないよ。。いつも会いたくなったら 夜の空をみるの。
決まって そこにいる。
 「なんだぁ?」
って 小首をかしげて 聴いてくれるよ。
会いたいな。
会ったら なにも言わなくていい。
いるだけで いい。
ね。

にゃ。

そっか、きみのかあさんもそうか。。ね、思うと 切ないけど
でも、胸があったかくなるね。
さみしい時は 思い出すの。

[心配せんでもいいで。。]

そう言って 笑ってくれる声が聴こえる。

もう 寝ようか。。ね。。

うん、おやすみなさい。にゃ。。

おやすみ。

一番に
瞬く星よ変わらずに
そのあたたかさ
胸に抱きぬ

さみしさも
うれしいことも告げたくて
おかあちゃんって今夜も呼ぶよ

生きてるよ
あなたが生きた道辿り
あなたのように慈愛持ちたい

この歳になっても 会いたいな。



こっそり
あなたとだけの音楽会はいかがですか?










もし 心に留まって下さったら、、、本を出すと言う夢に使わせていただきます。