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散歩に連れて行かなくていいの?

 薄桃色の梅は既に散り、白色の木蓮も散りかけ、今、赤色の木瓜と黄色のレンギョウが咲いている。
他の木々も一斉に緑の芽を吹き出した。

春やなあ

百姓をしている友人が、実を付けない草木は植えないと言っていた。

そんなもんか。

というわけでもないが、夏に向けて、何か野菜を植えようと狭い庭で土を耕した。
やっぱり、プランターばかりじゃ味気ない。
 たかが一畳の広さだが鍬を持って耕すのは意外としんどい。
やってみて、耕運機など無い時代に、先人が畑や田んぼを耕す事の、とんでもない労力に改めて頭が下がる。

 苦土石灰と肥料を混ぜ込み、表面を平らにし畝を作る。
二週間後には、植えられるだろう。

 翌朝、昨日作った畝の真ん中に、ウンチがまるでお供えのように鎮座している。

『お〜久しぶりにやってくれるじゃない』
猫のフンである。

人間にとってふかふかの布団のように、猫にとって、柔らかい土の上は絶好のトイレ場所なんだろう。
 目を細め至福の表情でウンチをしている猫の顔が浮かぶと、怒りの気持ちも失せてくる。

 しかし、このままでは、またされてしまう。残念ながら猫のウンチは肥料にはならない。
牛糞や鶏糞は、わざわざ買うのに。

さてどうしたものか。

家の周りは、ブロック塀に囲まれている。向かいの家のブロック上には、ペットボトルがこれでもかという数ほど並べてある。
それはそれで精悍である。

 昔は吠えもしない駄犬がいるだけで、猫は入って来なかったのに、いなくなると自分ちのように我が物顔で入ってくる。
おじゃまされてもいいが、我が家の庭は公衆トイレかよ?!

 散歩している犬なんぞは、今ではちゃんと飼い主が後始末をしているご時世。
そういえば、猫を散歩している光景を一度も見たことがない。
なんでだろう?
 ずっと家にいたら運動不足になるんとちゃうの?
猫は散歩しなくてええの?
な、ことはなかろう。

今までに猫を飼ったことがないのでわからない。

そういえば猫を飼っている友達が、外に出したことはないって言ってた。
え〜
その時は気にも留めていなかったが、今思うと超びっくり。
外に出たことないって?
じゃあ、普通家の中で飼っている猫達は、外で太陽の光を浴びて日向ぼっこしてないってことか?

それはそれで、なんか可哀想な気がする。
やっぱ日向ぼっこは外やろ。

 野良犬や野良猫が当たり前のようにいた時代、誰が道端にある糞のことに文句を言ったろう。
逆に糞を踏んだ方が間抜けだと言われた。

今、空前のペットブームだという。

飼い主の癒しのためにペットを飼うというが、これ凄い傲慢な思いだと思う。
ペットにとっても飼い主が癒しにならんと、そりゃあ、いけんだろう。

庭のふかふかの畑に
ウンチが鎮座してても、
それはそれで取ればいいわけで、

ま、ええか。

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