見出し画像

振込詐欺

 母の家の水道が壊れ修理をした。
代金12万円也。
母が、お金を支払っておいてくれと通帳を私に渡す。
 出勤途中に、ATMでその通帳から工事業者の口座に振り込もうとするが、なぜかできないとエラー表示がされる。
残金は十分にあるのに、なぜかよくわからないまま出勤した。

 銀行に振り込みができないと電話で問い合わせると、母が70歳を超えている高齢者なので、10万円以上の振り込みは、銀行に直接きてもらわないとできないという。
『年とったら、自分の金も自由に出し入れできないんだ』
高齢者への振込み詐欺事件が多いので、最近はそのようになったという。
 母は足腰弱く、ほとんど家から出ることのない88歳の高齢ではあるが、頭はまったくもってしっかりとしている。
本人が銀行を訪れるにはタクシーでも使わないと行けない。
 無駄なお金は、極力使いたくないので、母を連れて銀行に行った。
しかし、平日にも関わらず、昼時間は銀行が閉まっているではないか。
 一時間、寒い中を入口の中に入れてくれることもなく、外でじっと待たされた。
 美味しい料理を食べるために並んで待つのならいざしらず、行きたいコンサートのチケットを購入することでさえ、今は並ばずに買えるのに、、、

 ようやくのことで受付をすませた。
もちろん、
『どんだけ、ここに貯金していると思うんや!』
などの暴言はおくびにもださない。
 すると、当然だが銀行の窓口から振り込むと手数料がかかった。
それもATMで振り込むより高い料金ではないか。
『どういうこと?!』
老人のためと、さも老人思いで作ったようなこのしくみで、労力を使わせ、風邪をひかせ、その上ちゃっかり銀行が儲けているやないか!
オレオレ詐欺より巧妙な、これこそ、振込詐欺というんじゃないの?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?