愛車紹介2:スバル アルシオーネSVX
今乗っている愛車、2台目の紹介です。
知る人ぞ知るイタリアンスバル、1994年式スバル アルシオーネSVXです。
大好きな車なので語りたくて記事を書いていますが…生産台数が少ないマイナー車、さらに限定車を含めたバリエーションが多い。…中途半端に語ると間違いだらけになりそうで怖いです。
一つ一つ整理しながら語っていきましょう。
スバル アルシオーネSVXの紹介
アルシオーネSVXの概要
この車、知らない方も多いのではないでしょうか。
アルシオーネSVXは富士重工業(現 SUBARU)が1991年から1996年まで生産、販売していた2ドアのグランドツーリングカーです。
ボディサイズは全長4m62.5cm、全幅1m77cm、全高1m30cm。デカいです。30年前の車だと思えないくらいデカいです。
2ドアのクーペですが、大人4人がゆったり乗れるくらい室内も広くてグランドツーリングカー(長距離を快適に移動できる車)の名に相応しいパッケージングになっています。
搭載されるパワーユニットは自然吸気の3.3L水平対向6気筒DOHCユニット。水平対向らしく滑らかなフィーリングと大排気量車らしい力強い走りが大柄な車体をグッと引っ張っていきます。
キャッチコピーは「500miles a day」、「遠くへ、美しく」。
2ドアの流麗なスタイリングから、まるでスポーツカーのように見えますが…
当時メーカーはこの車の事を「スポーツカーの領域に入り込むまで運動性能を高めた本格的グランドツアラー」と呼び、決してスポーツカーであるとは言いませんでした。
トランスミッションがオートマチックのみだったというところからもスポーツカーのようにサーキットや峠をガンガン攻めるような車ではなく、高速道路や広い幹線道路をゆったり流すグランドツーリングカーとして売っていたことがわかると思います。
発売当時の状況
発売当時はバブル景気の末期、そんな時代にこの車は新車価格300万円から400万円近い金額で販売されました。当時は高級車のトヨタ クラウンが270万円から買えた時代です。とても高価な車でした。
価格的にライバル車は日産 フェアレディZ、トヨタ ソアラ、マツダ ユーノスコスモ、三菱 GTOなど、人気も知名度もある自動車ばかり。当時のスバルはその価格帯の車を販売したことが無く、ブランドイメージが大切な高級車市場では苦しい戦いを強いられたのではないでしょうか。
しかし、この車自体に魅力がなかったわけではありません。むしろ魅力と個性がぎっしり詰まっています。
外装デザインの魅力
この車を語る上で外せないものの一つがデザイン。自分はこの車の後ろから見たデザインがお気に入りです。フロントガラス、サイド、リアガラスまで360度ガラスで覆うラウンドキャノピーと、黒で統一されたルーフとトランクフードがまるで継ぎ目のない戦闘機のキャノピーのようで、市販車離れした独特の雰囲気を醸し出しています。(一部カラーリングを選択した車はルーフとトランクフードがボディ同色になるみたいです)
先代のアルシオーネから引き継がれたサイドまで回り込むテールランプ、ガラス越しに見える室内に至るまで…デザインの気合の入れようがすごいです。
内装デザインの魅力
アルシオーネSVXの内装デザインはシンプルかつ上品。
スイッチ類は解りやすく機能毎にまとめられ、押しやすい場所に配置。インパネに埋め込まれているオーディオ類には蓋が付き、使わない時は隠せるようになっています。オーディオが隠せるようになっているのはインパネを美しく見せる他、盗難防止の意味があるんだとか。
ステアリング横のキーシリンダーにはリング状に光るランプがあり、暗闇で見えにくい状態でもキーを差し込み易くなっています。
一番独特なのはサイドブレーキのレーバではないでしょうか。まるで航空機のスロットルレバーのように肘置きから生えたサイドブレーキのレバーは握りやすく、使い勝手もとてもよいです。
最近の車のような液晶パネルはありませんが、正直これで十分です。シートに座ると落ち着きのあるインテリアが身も心も包み込み、運転中も安らぎと心のゆとりを与えてくれます。
使いやすく、そして美しい。キャッチコピーの「遠くへ、美しく」を体現している内外装は本当に魅力的です。
ジョルジェット・ジウジアーロについて
この魅力的なデザインはイタリアを代表する工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロによるものです。20世紀で最も影響力のあったカーデザイナーに送られるカー・デザイナー・オブ・ザ・センチュリー賞を受賞し、デザイン会社イタルデザインの創始者。ジウジアーロが手掛けた車はといえば
海外なら、デ・トマソ・マングスタ、マセラティ ギブリ、ロータス エスプリ、BMW M1、DMC デロリアン。
日本国内なら、日産 マーチ、いすゞ 117クーペ、トヨタ アリスト、ダイハツ ムーブなど…高級車から軽自動車まで幅広く手掛けている方です。
実は限定車
アルシオーネSVXは限定車も含めて6つのバリエーションがあります。
下位グレードの『バージョンE』、上位グレードの『バージョンL』、300台限定車の『S40』、またまた300台限定車の『S40Ⅱ』、そして500台限定車の『S3』、1995年から設定された特別仕様車『S4』。
自分が乗っているのは『S40』という300台限定の車になります。S40は使用されているガラスが青ガラスになり、シートやインパネといった内装が専用のものになります。
S40のキャッチコピーは「大人のシンデレラとSVX/S40を見た。」「この速さと美しさは誰にも似ていない。」などなど…当時のS40のカタログからの引用です。S40のシートデザインやインパネのデザインは賛否両論出そうですが、シックな雰囲気があって自分は好きですね。全体的にどこを触っても質感は上質です。
憧れの一台が手元に届くまで…
アルシオーネSVXを知ったきっかけ
自分がアルシオーネSVXという車の存在を知ったのは「グランツーリスモ2」というプレステーションのゲームのお陰でした。
幼少期から自動車が大好きで、遊ぶゲームもレースゲームばかりだった自分にとって「グランツーリスモ2」というゲームは特別な作品です。多くの実在する自動車が登場する作品で、収録車種一台一台に細かい解説が付いており、自動車辞典みたいなゲームでした。ひらがなを覚えたばかりだった当時の自分は母に各自動車の解説を繰返し読んでもらっていたのを覚えています。
その中の一台がアルシオーネSVXです。ゲームの中ではあまり使いどころがなく、いまいちぱっとしない車だったと思います。ただ、幼いながら強烈なインパクトを植え付けられていたようで『マツダ ユーノスコスモ』、『三菱 GTO』と並んで忘れられない車でした。(いつか全部ほしい)
購入を決意
社会人になった自分は、前回紹介した「ホンダ ビート」ともう1台(これも記事を書きたい)の2台の車と共に生活をしていました。色々事情があって1台を手放すことになり、次は何を買うかと考えた時に頭に浮かんだのがアルシオーネSVXでした。
今回の中古車選びの条件は
・改造されていない個体(純正を楽しみたい)
・走行距離が45,000km~100,000kmの間
・実車確認時に、エンジンの始動を始めとした状態確認がしっかり行える個体
正直、かなり緩く条件を設定しました。
条件を厳しくすると、買えないくらい高価な個体しか残らないので…今回は購入後修理する前提で探していました。だからといって何も考えずにポンと安い個体を買うと絶対に痛い目を見るのである程度は慎重に…。
結果、出会ったのが今乗っているアルシオーネSVX。
販売店へ向かい実車の確認をした所、オーディオのみ社外品でしたがそれ以外はノーマル。内外装もいう程悪くない。ありとあらゆる角度から写真を撮り(30枚くらい撮った気がする…)その日は一度帰宅しました。
家に着き、撮った写真を眺めながら床に就くと…夢にまで見てしまい…。
翌朝すぐに販売店に電話して購入を決めました。
多発するトラブル
覚悟はしていましたが、トラブルが多発。
①タコメータ(エンジン回転計)動作不良、エンジンオイル漏れ
…納車整備中に発覚したトラブルです。両方ともしっかり治りましたが、納車が2ヶ月遅れました。
②走行中のエンスト
納車直後に発生したトラブルです。原因は不明で、販売店に見てもらった時はスロットルセンサー系のトラブルと判定されましたが治らず…。最終的にはミッションオイル交換をした所症状が落ち着きました。(色々な対策を同時に行ったので本当の原因は不明)
③補助ベルト用テンショナーの破損及び、ステアリングユニットからのオイル漏れ
走行中、前方から「バンッ」と異音。同時にメーター周りの警告ランプが大量に点灯。ステアリングが極端に重くなり、路肩に緊急停止。ボンネットを開けて点検した所、エンジンの補助ベルトが外れているのを発見。安全な場所に車を移動させ、レッカー。またまた販売店に見てもらった所、補助ベルトのテンショナーの破損とステアリングユニットのオイル漏れが発覚。両方とも修理。
④飛び石によるフロントガラス破損
これは機械的な問題ではありませんが、大変だったのでご紹介。
走行中に前を走っていたダンプカーからの飛び石によりフロントガラスが割れました。新品のガラスなんて出るわけもなく…気持ちが一気に落ち込んだことを覚えています。
幸い、アルシオーネSVXを専門に扱っているお店があり、そこにお電話をし相談。専門店が持っていたドナー車からフロントガラスを購入させてもらい、きれいに治りました。
それ以来 専門店に面倒を見てもらっています。
…その後は2年間、故障なく乗れています。
きっと抱えていた問題を出し切ったんですね。
今後どのようにアルシオーネSVXと付き合っていくか
今はオーディオとホイール以外はノーマルです。(ノーマルホイールはリペア中)
全てノーマルの状態で維持したいという思いで乗り始めた車ですが…最近トランスミッションをマニュアル化したいなぁという欲望がふつふつ湧き始めています。
純正のトランスミッションは4速オートマッチ。運転しているとエンジンから出力されたパワーがミッションに殺されているような感覚を感じます。強くアクセルを踏み込めば鋭い加速を楽しむ事が出来ますが、街中などエンジンの低回転域を多用するシーンになるとパワーが逃げていっている気がするんです。…自分でクラッチを繋いでやれば、もうちょっと気持ち良く走れるのかなぁと考えています。専門店でちょっと話を聞いた所お金はかかるが可能だと言って頂きました。
仮にマニュアルトランスミッション化しても外観はノーマルを維持させます。外観は弄らなくても美しいですから。
まとめ
知る人ぞ知るアルシオーネSVX。
富士重工業が本気で作り上げたグランドツーリングカーです。
納車直後にトラブルが多発して大変でしたが、落ち着いた今はゆったりとしたドライブを日々楽しんでいます。
今回紹介できなかったこの車の魅力はまだまだたくさんあります。内外装、乗り心地、エンジンフィール、全てをとっても唯一無二のこの車は自分にとって決して手放したくない一台です。
前回紹介した「ホンダビート」と並んで、一生大切にしたい車がアルシオーネSVXです。