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浴衣で分かる!衣紋タイプの違い《繰越の話⑤》

※繰越の話⑤は既に一度アップしていたのですが、内容がくどい為にアーカイブしていたものを再編集しましたm(_ _)m


こんにちは、ものぐさ和裁師です^^

夏といえば浴衣♩♩

蝉の鳴き声で早朝に目が覚めるという風流な時節になってきましたが、皆様は今季の浴衣を楽しまれましたでしょうか?

今日は浴衣で分かる後ろ姿について、衣紋の話として少しだけアップしていこうと思います。

◯衣紋タイプとは?

着物を着用した際の後ろから見る衣紋の形の違いの事です。大きく分けて2タイプあります。

衣紋タイプの違い

こちらの写真の通り、仕立ての違いで衣紋の見え方が全く変わるということがあります。

◯浴衣で分かる!とは?

先ほどの写真はプラスティック衿芯を入れた襦袢に着物を合わせた後ろ姿の比較です。

浴衣の季節になるとゆったりと着られる方も増えるので、衣紋の違いがよりはっきりとします。

◯衣紋タイプの比較!浴衣として着たら?の場合

まずは先ほどの比較写真の着物から↑
上側の盃タイプ衣紋の着物を浴衣として一枚で着用するとどうなるか?というと…

プラスティックの衿芯の伴った襦袢を纏っていないとこの様に盃の平らかさと衣紋の四角い印象が強調されます

ここの平らかな部分が多い為にトルソーさんへ着せつけた際に衣紋を真っ直ぐ整えるのにお猪口タイプ衣紋より時間を要します。
※盃タイプのため衿の背中心すぐ下にシワが入りやすい状態にもなっています。

盃タイプの仕立て方・ハサミの入れ方はこちらから見られます↓↓↓


続いてはお猪口タイプ衣紋の単体図を見てみましょう。

先程と同じ様にトルソーさんに着付けるのですが、衣紋が整う時間は一瞬です。
お猪口型に仕立ててあるので背中心部を軽く引っ張るだけで形が左右対称に安定し易いのです。

お猪口タイプの仕立て方・ハサミの入れ方はこちからご覧ください↓↓↓

浴衣を着る場合には殆どの方が襦袢などの衿の見える下着を着用することがないので衿の仕立て具合によって見栄えの違いが歴然としてくるのです

浴衣の衿が単体で落ち着かないストレスを解消するために後入れの芯を挿入する場合もありますね。

後入れの芯を入れたり、浴衣でなしに、襦袢の芯や半衿の付け方等で衿の形を調整する事はできますが、お客様が希望する衣紋の形が決まっているのなら最初からそれに合わせた仕立てを行いたいというのがものぐさの仕立てなのです🪡

◯浴衣は衣紋を大きめに抜く傾向がある

浴衣を想定した着装写真を載せていますが、一般的に考えて、浴衣を着る時は普段の着物や冬の着物と比べて衣紋は多めに抜く傾向があるように感じています。

盃タイプの衣紋を多く抜いた図

この様にやはり首元は四角く見えるようになります。

お猪口タイプの衣紋を多めに抜いた図

盃もお猪口も大きく衣紋を抜いたからとて首元の形は変わりません。

しかし見た目の印象は大きく変わると感じています。


※ここからは芯を入れた状態の写真で比較していきます。

繰越寸法は同じ
衿の付け方だけが違う2枚の着物

双方を横から見た図です。
盃タイプは背中心の平部分が多い為に若干衿が倒れている様に見えます。

衣紋を大きく抜いて着用すると、背中心の仕立て具合が強調されて、盃はその平部分が多いために衿がユラっと寝てしまう様に見えます。

※実際にここまで衣紋を抜かれる方は少ないとは思いますが参考になれば🙏

◯繰越寸法は同じなのに何故見え方が変わるのか?



この理由は前にも書きましたが衿肩あきのハサミの入れ方が違う為です。
そしてもう一つの理由は衿を付ける際のゆるみ加減が違うからであります。

この2枚は繰越5分・衿付け3分と寸法は同じ。

しかし衿のゆるみ加減が違うのです。

その加減の違いでお猪口タイプと比較した時に、盃タイプは大きく衣紋を抜いた時に寝ている様に見えるということです。
ここまでくると和裁の技術に偏った話になってしまうので続きはまた後日に改めてアップしていきたいと思います。

◯おまけ

最後になりますがご覧になっている方で違う浴衣は浴衣なりに繰越を多く付けて、衿付け寸法も深くするやり方もあるんじゃないのか?と思われる方もあると思うので違う仕立ての写真も載せておきます。

この黒い浴衣は繰越1寸3分・衿付け5分に仕立てたものです。

どちらのタイプに見えますか?

良かったら感想をお待ちしています^^🎵

以上簡単でしたが今日はここまでで。
ものぐさ和裁師でした🪡

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