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忘却

悲しみは 消えない
忘れることなど できない

愛する人を 亡くした
悲しみ

時は 無残にも
ありし日の思い出をも
波のように
さらってゆく

わたしは 砂漠のなかにいた
烈しい渇きを 覚え
一滴の水を求めて
さすらった

どれほど、さまよったことだろう
ようやくオアシスに たどり着いた
でも それは 蜃気楼だった

わたしは ふたたび
重い足を 引きずり
歩き出した

サボテンは 寂寥とした思いを
砂漠に 撒き散らしていた

それでも 一滴の雨さえも
わたしを慰めることは
なかった

たいいりょう

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