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「東京すみっこごはん」に描かれた人々とジェーン・オースチンの言葉

「東京すみっこご飯」、成田名璃子さんの小説だ。
表紙絵も登場人物を的確に表していて、気に入っている。
最近、表紙の絵が内容と人物のイメージに合わない文庫もあるので気になっているところだ。たとえば、だけど、こんな文庫の表紙。

あたしだけの思いなので、誤解しないでね。
つきみはもう少しシリアスさが欲しいね。スープ屋さんは子供っぽいよね。残念、

中古本集めが趣味 だった あたしは、成田さんの小説を他に2冊、「月だけが私のしていることを見おろしていた」と「 ハレのヒ食堂の朝ごはん」を購入済みなのでいつか読みたい。すぐ読めない理由はレンタル倉庫に袋に入れて保管しているのですが、どこにあるのかわからないのです。
評価が良いと思う文庫の中古を片っ端から購入していた。家族が本ダニに刺され、レンタル倉庫を借りている。レンタル倉庫代は毎月14000円程。バカだ。さすがにバカさに気付き、早めの処分を開始している。

実は今の家に引っ越しししてくる前、6年前だが2000冊を貯め込み、すべて読まずに処分した。ブックオフ引き取りをお願いして、2800円になった。
今回はレンタル倉庫のおまけつきで、2度目のバカをやっている。

引っ越しと言えば、あたしは成人後に引っ越しを15回。家族はさぞ大変だったと反省している。前回の引っ越しでは妻が一人で荷づくりをした。
2000冊の本も、重いのに箱詰めしてくれた。本当に申し訳なく思っている。
今回は早めに処分を開始した次第だ。再度自分に「バカ」 と言いたい。

どんどん話が剃れて、ごめんなさいね。
東京すみっこご飯の話よね。これ意外といってはしつれいだけど感動したのよね。狭い領域、いち台所を舞台でおりなす物語。それを毎話飽きさせずに読ませる力量に感動。そこに描かれた市井の人々が素晴らしい。
しかもこのシリーズって、文庫の厚みも普通にある。
どんな人々かは、ここで描きだしてもつまらないわよね。
ただ、人生を振り返るって意味ではそそられる人々ですよね。
          興味があれば読書してくださいね。

妖怪アパートっておもしろいけど、本が薄くて損した気持ちになるのよね。
スープ屋も薄いかなぁ。この東京すみっこはきちんちした厚みがあるのよ。
そんなところに感心しているあたしです。内容をまとめると。こんな感じ。
(あたしは読書感想文てきなものはかかないのでご容赦を)
【1】東京すみっこご飯
料理が中心の本? 実は料理小説を集めていて気になり読み始めました。ところがどっこい、これは悩める人の内容なのですね。あれがおいしい、こんな料理すばらしいの小説ではなく、日々のくらし、仕事、生活環境もちがう人の生き様のお話です。読んでいておもしろいとは思うけど、参考になるっていうことはないかな。でも読んでいます。(あたしは、中古本を買い過ぎていて、消化不良状態なので、おもしくないと思うと途中で読まずに処分します。もったいないよねと、分かっているのですがね)シリーズものなので全巻読むと思います。私自身、食べることが好き、食べたい料理を作るのも好きなので、読み進められると思います。
(追記)
癒しの場所があった。そこが「すみっこご飯」。その場所で紡ぐ物語だと思った。が、それだけではなかった。その場所に深い物語があった。そこに気づかなかった。三分の二ほどの所で読むのを止めていた。ちょうどタイからの苦学生の話のところだ。そこでは、あの文句言いの柿本が中心となる話だ。正直、あれと思っていた。柿本は人のじゃまといやなことばかり言う人間。なんで彼が中心となっているの?? その次の物語は、あるブログの内容が気になっている還暦近い男性の物語。そこに、すみっこごはんの秘密が隠されていた。う~ん、深い。そうだったのか。

【2】雷親父とオムライス
さすがに買い過ぎ(今900冊越えかな)で、購入済みの中古本の処分を始めた。借りているレンタル倉庫内、ビニール袋に入れて積みあがった本の山。手前の袋から崩している。200冊ぐらい崩しただろうか。そのまま保管するもの60冊、自宅に持ち帰り読むもの40冊、ブックオフで読まずに処分するもの100冊。といったところか。東京すみっこご飯が出てきた。シリーズの一巻目は読了済み。残りのシリーズ3巻が見つかったのだ。読み始めたがお決まりの内容なので処分しようかとの思いが頭をよぎるが、やはりおもしろい。各話の主人公は皆ひねくれものたちだ。彼らがどのように共同食堂を感じるのかがおもしろい。

【3】親子丼に愛を込めて
主人公の楓。素直で真っ直ぐな子だ。酢豚にこだわる奈央さんが可愛い。楓に対し女子生徒からのいじめも出てくる。動じない楓だが、まさかの同姓愛がテーマ。カラリとまとめている。最終話の親子丼の話では、読了後に思わず涙がこぼれてしまった。まずい、ここは車内だ。そっとハンカチでしずくを拭いたあたしでした。それにしても、そんなに広い設定でもない、一台所に集まる人たちの物語。よくも飽きさせずに読ませるものだ。同様な小説に「スープ屋しずく…」があり、スープ屋を中心とした物語。店主と店主を密に思うOLの二人を中心とした物語が展開していく。こちらもおもしろい。

【4】楓の味噌汁
今作は真っすぐで、人を疑わない楓と各話の人物を対比させた作風。2作目の雷親父とオムライスをお決まりパターンだろうなぁと、読むのを辞める気持ちで読み始めたが止まらなくなり読了。3作目を読み、これは4作目。本作の人物たちは皆ひねくれ者。人の気持ちを斜めにくみ取る。相変わらず引き込まれる。どんどん読み進められる。一話目の子。お金持ち女子と対等に付き合うため無理を重ねている。SNS依存が今の社会を投影している。2話目の子。高校受験が敵わず、楓に捨て台詞を吐いて逃げた子は、これからどうなるのだろうか。気になる。

「すみっこごはん」は次作で完結。さみしくなる。
そうそう、狭い領域、あたしは「向こう三軒両隣」って言っているんだけど、この小説はおもしろく、わくわくが止まらず、英語版も準備した程。
それは、ジェーン・オースチンの「自負と偏見」。

いろいろな版が出版されていると思う。

「英語における自由間接話法(描出話法)の発達に大きく貢献」したと言われているけど、あたしにはチンプンカンプンです~。
ほんと2,3軒の家のことを書いて、どこにも出ずで完結させているのに、
人間、特に女性を生き生きと描く描写が素晴らしかった。

ということで、何が言いたっかというと、狭い領域が中心だけど、いかにそこから話を広げるか、人間を描き分けるか、その素晴らしさを言いたかったのですよ~。
           ちっとも狭くないって、失礼しました。
最後にオースチンの言葉を送ります。
「君の心の庭に忍耐を植えよ、その草は苦くともその実は甘い」
もう遅いかな~、あたしの心に、「忍耐」を植えるのは。
遅くないって、言ってよ~
どこでも依存主義のあたしです。

Sow the seeds of patience、and bitter though the grass may be、sweet will be the fruit.

see  you


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