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コミュニケーションについて想う

ここ数日、たった数日で目まぐるしく色んなことがあった。

振り返ってみると1週間の出来事。
7日間。
7ヶ月分くらいの濃い時間だった気がする。

新月が三日月になって上弦の月になる7日間。
1週間が7日なのはきっと月の満ち欠けの分かりやすさからだったに違いない。
目で見てわかる変化で、同じ単位が生まれたに違いない。
諸説あるだろうけど…私はそう思っている。

新月の夜に不思議な出会いをして、
翌日に出会った男の子は聾唖で弱視だった。
加えて心も少しだけ厄介らしい。
声も聞こえない、姿もぼんやりしか見えない私とコミュニケーションを取りたいと声をかけてくれた。
何を頼りにそう思ってくれたのかはわからないけど、
なんとなくぼんやりと嬉しかった。

覚えたての手話で意気揚々とコミュニケーションをとろうとして、初めて手話が見えないという現実を目の当たりにした。
未知の世界…
一体どうやってコミュニケーションをとっているのか、手話通訳さんに聞いてみた。
手話通訳さんが私の言葉を手話で表現して、それを隣にいる通訳さんが、その子の手を触れながら手話をしていた。

私の言葉を二段階の手段を経て、その子に伝わる不思議な空間。
こんな世界があることを知らなかったし、きっと知らないまま生きている人も多いんだろうと思った。
知らずに生きていくこともできるし、より深く知ることもできる。
知った上で、知ろうとしない人もいるだろうし…

私は知った気でいた世界に知らない世界が広がって、知らないことが恥ずかしくて、情けなくて、やたらと凹んだ。
おそらく私の雰囲気で、凹んでいることを察したのであろうその子に、「がんばれ」と励まされた。
なんて逞しいのだろうと思った。

その子が走ることが好きな私に、一緒に走ろうと誘ってくれた。
ただの趣味だし、記録云々でなく、ただただ小さな目標の小さな達成の繰り返し作業として、私は自分のペースで走っていたから、聴覚がなくて、白杖がないと歩けない弱視の子の伴走なんてできるかな…と不安に思った。
それが素直な感想。
でも、やってみたいとも思った。

日曜の朝に一緒に走るトレーナーさんに走りながらそんな話をした。
ただ伴走者の心得を盗もうと近くを走っていただけだったけど、同じ方向を見ながら走ると意外と深い話ができる。
そこは山登りに似ている気がする。
山頂を目指す同じ目標があるみたいに、一緒に目的地に戻るまで、不安に思っていたことを話した。

プロのトレーナーさんでも、そんな伴走クラブがあることを知らなかった。
知らないからやってみたい!自分も行けるのか?と聞かれた。
私が行けるんだから、行けないわけないし、確実に私より戦力になる…私は自分のペースもコントロールできない素人。
だから、不安だったから、プロに相談したら、プロでもわからない世界だった世界観。

そんなの悩んだってわかるわけない!と逆に開き直った。そして、2人で体験の練習会に参加することになった。
こんなに心強いことはない!
体験ではアイマスクをつけて走る体験をするらしい。
絶対絶対怖いと思う。
でも、やってみないとわからない。
それが当たり前の世界の人がいる。
自分にとって当たり前ではないからと、その世界を排除してはならないと私は思う。
知る努力をして、知ることができるならば知ってみたい。

たぶん怖いし、でもきっと、いつも走って見える景色と違う景色が見えると思う。
視覚に頼らない世界で見えるという表現は不思議だけど、見えるんだと思う。

聾唖の友人と話していて、大笑いすると、声はないけど笑い声が聞こえる不思議な瞬間がある。
視覚がない世界で見える景色はどんなだろうな…
不安だったけど、二つ返事でやってみたい!と言われて、不安がワクワクに変わる不思議。
きっと本音ではすごくやってみたかったんだなと、そうなってから初めて気付く。
人間の心って不思議だなと思うけど、たぶん1番難解なのが自分自身の心なのかなぁと思った。

やりたいと思ったらやってみたら良い。
やってダメなら、辞めたら良い。
自分の気持ちに正直により良い、
より楽しい方を選ぶことが
“リビングウィル”“より良く生きる”
尊厳死の考えに繋がっている。

悩める私に言葉を職にする友人から贈られた言葉
沢木耕太郎著『深夜特急』
“恐れずに。しかし、気をつけて。”

背中を押す言葉。
友人のピンチに(そんなにピンチではなかったけれど、うだうだ悩んでいた)
素敵な言葉をかけられるって、素敵だなぁと思う。
言葉の使い手。言葉のプロ。

目が見えない人は点字を使う。
音声案内を使う。
耳からの情報も得られない人は無音の世界で、体に触れたものから情報を得てコミュニケーションをとる。
私は点字にも音声案内にもなれないだろうけど、やらずに恐れるのではなく、気をつけて進んでみようと思った。

終わった後、きっとまたうだうだぐずぐず言うだろうけど…やらないでうだうだ言うより100倍良い!

また満月に変わる頃、新たな挑戦をするけれど、失敗したってゼロにはならない。
やってみることにこそ意味があることが世の中には多いような…

恐れずに。しかし気をつけて。
Don't be afraid. but be careful!

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