3月限ファープットの謎後半

改めて、権利行使価格23250円のプットの価格の推移を見てみよう。1/16日に戻り高値125円、その後順調に下落して2/16日に安値4円を付けた後、翌2/17日から5円を連続して維持している。日経平均株価は年初に最安値25716円を付けた後、1/16日に2番底25822円をつけている。その後1/26日には27500円にザラバでタッチするまでに急反騰する。10日間で2000円近くの急騰である。その後今に至るまで25000円を中心としたボックス相場となっている。今回の23250円のプットがなかなか下がらなかったのは、10日間で2000円近くの急騰が原因だと考える。何故か?権利行使価格23250円のプットのポジションを保有している人の心理を考えてみると。日経平均株価が25000円台であれば、23250円のプットは十分に保有する意味がある。残存期間が2か月残ってもいる。それが1/16日の状況である。もし、日経平均がそのまま25000円台後半に留まれば、日にちの経過とともに、到達確率が徐々に低下する。それぞれのタイミングで、損切することになり、それ相応に価格は下落する。ところが、急激に2000円戻すという普通予想できない動きとなったために損切するタイミングがつかめないままにきてしまった人が多かったのではないか。100円以上だったプットが1桁になってしまったときに損切するよりはSQまで保有することでまさかの日経平均が急落したときの爆上げを期待した方が良いと考える人が多いと考えられる。だから、「正当な」価格より高いままに維持されている原因だと思う。2/22に日経平均が27000円を試すような動きとなった時には23250円のプットは5円→7円に上昇。天皇誕生日をはさんで日経平均が再度27500円に戻すような動きになったときに23250円のプットは7円→3円に下落した。残存期間が減ったとはいえ、2週間と数日だった残存期間は2週間程度に減った程度だ。これもポジション保有者の心理から考えると日経平均が27000円近くまで下落し、このまま27000円を割ると一気に急落する可能性が出てきた。ファープットを保有している効果がいよいよ発揮されるかもしれないと思った翌日期待に反して戻ってしまった。期待が完全にはずされ、諦めるきっかけとなりこのタイミングで損切する人が多かったと思われる。天皇誕生日を挟んだ株価の動きがなければ、未だに4円~5円だったのではないか。また27000円台に戻る1/16~1/26の機関がもう少し緩やかに戻っていたなら順調に、早く今頃は2円とか1円に下落していたかもしれない。普通、日経平均が上昇するときはプットは下落し、ボラティリティが下落し、価格比も下落する。しかし、スピードの問題があって急激な日経平均の上昇はボラティリティが上昇する場合もあれば、価格比が大きくなる場合もある。ファープットの価格のしかも1桁の価格なのでだれも注目はしていないかもしれないが、価格比、すなわち価格の並びに注目している私にとっては解かなければならない問題だった。ここから読めることは、もし、日経平均が下落したときにこの23250円のプットはどうなるか?もちろんプットだから日経平均が下落すれば価格は上昇する。しかし、上昇率はそれほど大きくはならないだろう。やれやれ売りがその都度出ることが予想される。

ここで、さらに深堀すると、日経平均を原資とした派生商品がプットである。またプットの価格からVIは計算する。VIがこうだから、株価が上昇するとか下落するとかいう論説がよく見かけられる。また、プットがこうだから株価が上昇するとか下落するとか。話は逆である。日経平均の動きによってオプション価格が決定され、オプション価格によってVIが計算されるのだ。オプション価格を過剰に評価して日経平均株価を断定的に論じることは誤りであることをここで主張しておきたい。

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