あやめ

日記以上、小説未満。 視界、ぼやけがち。

あやめ

日記以上、小説未満。 視界、ぼやけがち。

最近の記事

本当に簡単に人を好きになってしまう。 それが憧れなのか、相手から好意を持たれて親切にされたからなのかは未だに自分でもよく分からない。 一つ確実なのは、相手の愛嬌に自分の心を持っていかれているということだ。

    • ありがたさを、幸せを噛みしめた日

      一人暮らしをしていると、実家での生活のあれやこれやのありがたさに気づくというのはまあありがちな話である。 一人で生活をするということは移動手段から、毎日の食事、掃除、洗濯まで全てを自分1人でこなさないといけないということになる。 実家にいる時はこのタスクを分担、または親がやってくれるのであまりのありがたさに親を拝み始めそうになるくらいである。 また、実家に帰ってくる時にしか味わえないものとして個人的には「誰かが家にいてくれていて、常に自分のことを気にかけてくれていて、愛

      • クールでドライで、笑わなそうなそのひとは 第4章

        その次の日である日曜日、私は大学の友達とキュランダというところに観光に行った。 部屋に戻ってきたのは夜8時頃で、ドアを開けるとナオがいた。 私はコーヒーを飲んで気分がハイになっていたので、キュランダでコアラを抱っこした時の写真を見せながら饒舌になった。 その日の夜ご飯はシティでハンバーガーを食べたのだが、なんと20ドルもした。 その話をナオにしたのだが、(しかも日本語で)なんとナオの隣のルビーにも聞こえていたらしく、 20ドル??? とそれはもうたいそう驚かれたご

        • クールでドライで、笑わなそうなそのひとは 第3章

          私はキム本人にそのギャップ萌えの一件について触れるか否か悩んだ。 普段外に出る時の格好はクールでボーイッシュな感じなので、もしかしたらその自分ツッコミくまという可愛らしいTシャツを着ていたことに関して触れられるのは好きじゃないかもしれない。 でも、わざわざ韓国から荷物として選んでいるくらいだし、よっぽど好きなんだろうな。 私もそのキャラ好きだし、喋ったら絶対盛り上がるじゃん。 葛藤に葛藤を重ね、その日はその話ができなかった。 でも大学の友達にはそのギャップ萌えについ

        本当に簡単に人を好きになってしまう。 それが憧れなのか、相手から好意を持たれて親切にされたからなのかは未だに自分でもよく分からない。 一つ確実なのは、相手の愛嬌に自分の心を持っていかれているということだ。

          クールでドライで、笑わなそうなそのひとは 第2章

          それにしてもキムは同室の私に気を遣ってくれてるのかなんなのか、部屋の中に入ってくる時も出る時も部屋の中での行動もとにかく静かだった。 部屋を出入りする時、キムはめちゃくちゃ静かにドアを開け閉めする。 部屋のドアはドアノブ式で、そのドアノブを回して扉を開け、その状態のドアノブのままドアを元の位置まで戻し、今度はドアノブを逆方向に戻す。 つまり、ドアを1番静かに開け閉めできる方法というわけである。 いや、そこまで静かにドアを閉めなくても大丈夫よ!? もしかしてキム、めち

          クールでドライで、笑わなそうなそのひとは 第2章

          クールでドライで、笑わなそうなそのひとは 第1章

          私と彼女が初めて出会った時、たぶんお互いにお互いのことをつかめないなという印象を持ったんじゃないかと勝手に思っている。 前作「泡沫の…」に登場したアイリーンがこのカレッジを去った日、とうとう4人部屋の303号室は私一人になった。 私は日本にいる時は一人暮らしをしていたし、ドミトリー独特の他の人と生活を共にすることにまだ落ち着かないでいたので、アイリーンが去る前までは部屋に一人でいたらどれほど気が楽だろうとか能天気なことを考えていた。 土曜日の昼間は大学の友達とフィッツロ

          クールでドライで、笑わなそうなそのひとは 第1章

          泡沫の…第3章 後編

          その次の日の金曜日はナイトクラブに出かける日であるのと同時に、彼女がこのカレッジを出る前日でもあった。 彼女は音楽を聴くのが好きなようで、その1週間の中でアイリーンが部屋にいたときはだいたい音楽が流れていたか、Instagramだか TikTokだか知らないが動画の音声が聞こえてきたりもした。 というかこの方は部屋に他に人がいようがいまいが音を流すタイプの人のようだ。 たまにイヤフォンを着けてた時もあったけれど。 そんなわけで、彼女がカレッジを出る日の前日のパッキング

          泡沫の…第3章 後編

          泡沫の…第3章 前編

          かなえがここを出てから、ドミトリーの303号室の住人は私とアイリーンの2人だけとなった。 正直、ここに来て数日間は彼女のことをよく知らなかった。 思えば、彼女と話したのはほんの数回だけだった気がする。 彼女に興味がないとか話しかけづらい雰囲気を出しているとかではなく、ただ単に生活リズムというか時間帯が合わないのである。 私はここに来てから早寝早起きという健康的な生活を送るようになった。 夜は21:30には寝るし朝は6:10には起きる。 日本にいるときはレポートやら

          泡沫の…第3章 前編

          泡沫の…第2章

          第1章を書いてから私が彼女らと出会って2週間と半分が経ってしまい記憶が霞み始めている…まずい。記憶が薄れ、苦しかった記憶も美しく脚色されてしまう前に書き上げなくては。 私にとってはありがちなことだが、新しく出会った人と初日こそ話が盛り上がるもののその次の日は彼女らと話をした記憶があまり、ない。 私は人と話をするのが得意ではない。 そのためシャワーの使い方は、とか必要最低限のことしか自分から話しかけられなかった。 もっとも、海外で生活することも寮で他の人と寝食を共にする

          泡沫の…第2章

          泡沫の… 第1章

          私が彼女と出会ったのは、7月8日の朝だった。 私は大学のプログラムとしてオーストラリアのCairns(ケアンズ)に留学に来ていた。 成田空港を飛び立った私は約6時間半のフライトを経てケアンズ国際空港に降り立ち、外がまだ夜の闇に包まれている中、留学先の迎えのバスを待った。 どのくらい時間が経っただろうか。 東の空が朝の色を帯び始めた。 迎えの方に案内され、私はバスに揺られながら留学先のカレッジに向かった。 空港周辺は、それはそれは広大な自然が広がっていた。 数えよ

          泡沫の… 第1章

          ため息

          アラームで起きた朝 君からのLINE カレンダーに二重線 鈍色の雲

          地元

          人口が3万人にも満たない私の地元は、街を歩けば年寄りが多い気がするし、スーパーで小さな子供を見かけるとほっこりするレベルだし、なにより垢抜けてるとはお世辞にも言えない田舎である。  大学進学で地元を離れるまではこの地元とは未練を感じることなくさっぱりと去れると思っていたのだが、地元を離れて一人暮らしを始めてから認識は90度くらい変わった。 寂しい。寂しいのである。 大学で友達がいないわけでは断じてない。 価値観が合わない、この人と私は合わないな、ということが増えた。

          幕開け

          あやめと申します。 日記以上、小説未満の文章を書くつもりです。 日常で起きたことをそのまま書くかもしれませんし、脚色をひとつまみ加えたお話を描くかもしれません。 2023年5月2日現在の私には小説のような物語や美しい言葉を連ねることができるかは未知数ですが、時折りにでも顔を覗かせられたら。 2023年5月2日