SNSで可視化された普通の外国人

SNSで可視化されたことは多くあるが、その中でも重要なのは「普通の外国人」が可視化されたことである。ここではアメリカ人を例にして考えたい。アメリカ人と言えば、例えばオリンピックで世界一の数のメダルを取っていることや大リーグやBリーグでの選手の活躍が頻繁にマスメディアで取り上げられている。これを見て、無邪気に「凄い、アメリカ人って皆運動できるんだ」と思っていた人は多いだろう。しかし、マスメディアで取り上げられるアメリカ人はスポーツでも他の分野でもトップレベルの人だけである。海外に縁のない人にとって、トップレベルの人だけではない普通の外国人の存在を認識させてくれたのがSNSと言える。東京オリンピックの期間中、「日本人は体育の授業などを通じて子供のころから様々なスポーツに親しむが、アメリカでは日本ほど体育が熱心に行われていないので運動音痴の人が多い」という在米の方のツイートが話題を集めた。「普通の人」に多く触れているからこそ「アメリカ人は皆運動ができる」という幻想が間違いであることに気づいた。そして、SNSがあったからこそそれを同じ幻想を持っている多くの日本人に発信したのである。実際のところ、アメリカでは一流のアスリートになれそうと判断した人に最大限のリソースをつぎ込み、そうでない人は「知らんぷり」しているのが実情のようだ。これはオリンピックのメダルの数には繋がっているが、一般大衆の運動能力に関しては疑問符が付く。一方の日本では運動が苦手な人にもリソースをつぎ込みある程度はできるようになる喜びを味わわせるのが一般的である。日本とアメリカでは、上位0.1%の運動能力はアメリカの方が高いだろうが、中央値は日本の方がはるかに高いだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?