見出し画像

ショッピング中、行方をくらますわたしと。


わたしはショッピング中、とつぜん姿を消す悪癖がある。

なにそれ?と思われそうだが。
夫いわく、そうらしいのだ。


ショッピングモールで、いっしょにいたはずなのに、気づけばふらりとその場を離れ、別の売り場や隣の店、下手したら離れた店内に次々と進んでしまっている。

夫にとっては、大迷惑だ。
何も言わずに、いなくなるのだから。




大学生の時から、こんな感じだ。
私はショッピングにおいて、相手のペースに合わせて「待つ」のが苦手なのだった。

だから、複数人で同時にお店に入っても、自分が見終わって相手がまだ見たそうだったら、勝手に先へと進んでしまう。

機会が合えば「見たから先行っていい?」と声をかけるし、終わりそうならちゃんと待つ。
でも、たとえば試着室に入っていたり、相手の姿がすぐ見つけられなかったら、こう思ってしまうのだ。

「まあ、近くにおればまた会えるやろ」



この「近く」というのが、私はどうも広すぎるらしい。
隣のお店ならすぐ見つけられるだろうと思っていても、案外相手は逆に向かったりして、お互いどんどん離れていく。
合流できないまま、仕方なく電話し合う。

夫とはよくこのパターンに陥る。
電話のあと、こちらに向かってくる時の夫の顔には、いつも「まったく勘弁してよ」と書いてある。
ごめんね。いつも。


断っておくが、建物の外に出ることはない。
あくまでショッピングモールの話だ。

同じ建物内にいるからいいじゃん。
それが私の弁解なのだが、そんな私の振り回されても、いっしょに買い物するのが好きだと言ってくれる夫は、やっぱり優しい。
夫との買い物は、私も大好きだ。





子どもが生まれる前には、よくウィンドウショッピングを楽しんだ。
服や雑貨を見ながら、「これかわいいね」「おもしろいの見つけたよ」と言い合うと、価値観がぴったりハマる感じがした。

夫はかわいいものが好きだ。
柴犬のハンカチとか、ゆるい動物柄の手帳とか、お花のついたお皿とかを見つけては喜んでいる。

でも、いつも真顔でしらっとしているので、はたから見たら無感情な男に見える。
でも、私には分かる。
柴犬のハンカチをじっと見つめる夫の周りには、小さな小花がふわふわ浮かんでいるのが。

「あ、今かわいいって思ってるんだろうな」
彼のハッピーオーラは、妻の私にしか分からないのだ。



こんな感じで、いっしょにショッピングが好きな私たちでも、絶対一緒に見ないお店がある。


本屋さんだ。

本好きの夫婦なので、本屋には必ず立ち寄る。
しかし、一緒に見ることはほぼない。

だって、見たい棚も違うし、ペースも違う。
おもしろいと思う本も違うので、いっしょにいる必要が全くないのだ。

お互い好きなように本を探し、買ったらそばのベンチで待つ。それがいつものパターンだった。




こんな2人でのショッピングも、もう4年ほどしていない。
子どもを連れてショッピングするのは、想像以上に大変で、苦行だった。

息子たちは、大人の買い物に付き合ってもつまらない。
私たち夫婦もも、ゆっくり見られないからつまらない。

だから、家族のお出かけ先に、ショッピングは選ばれないのだ。
我が家にとって「家族でショッピング」は、誰もハッピーになれないのだ。



昨晩、夫にショッピングの話を振った。

「よく2人でショッピングしたよね」

「したいよー、いっしょにぷらぷらしたいよー」

おっ、どうやら相変わらず、夫も私とショッピングがしたいと思ってくれているようだ。
嬉しい。そして安心する。

私たちの価値観はまだぴったりハマっている。
私がどんなに振り回しても、夫はのんびり付き合ってくれる。
そして私もまた、夫の服選びに口を出し、かわいい雑貨を見つけてやり、手を繋いで一緒に歩く。

子どもがもう少し大きくなったら、そんなショッピングがまたできるだろうか。
その時まで、いっしょにぷらぷらできる夫婦でいようね。


_____________

珈琲次郎さんの企画に参加。
相変わらず、テーマ設定がツボをついてくる。
めちゃくちゃスラスラ書ける。筆が乗る。
また他の方のお買い物話が楽しみだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?