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パーソナルトレーナーとしての生理学 Vol.1

 都立大学パーソナルジム「TRAINER‘S GYM(トレーナーズジム)」でパーソナルトレーナーをしております【西川 可奈子】がご紹介致します。
人の体が動くのはなぜでしょうか?食べて消化したものがどのように変化して使われているのでしょうか?知っているようで知らない、体が動くそもそものメカニズムについてご紹介していきます。

はじめに

人の体が動くというのは、考えてみれば不思議です。
どういうメカニズムなのでしょう。
日々の栄養や睡眠、自律神経、内分泌、筋肉、骨…etc.
人の体は複雑に影響しあって、私たちは生きる事が出来ています。
体について沢山の知識と根拠を持つということは、トレーナーとしての基盤となるものだと思います。
そこで今回は、どうやって人の体が動いているのかを考えていきます。

1.代謝について[異化・同化]


人の体は主に口から取り入れた炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質を、体の中で利用できるエネルギーに換えてそれをガソリンとして動いています。
人が生きていく為に必要な作業が①異化と②同化です。
①異化:大きな分子を小さな分子に細かくする。
このときにエネルギーが発生する。
ex.胃の中で食べ物を消化する
②同化:小さな分子を大きな分子に変換する。
ex.アミノ酸が集まってタンパク質になる

この同化と異化のことを代謝と呼びます。

2.ATPとは?


ATP(アデノシン三リン酸)とは異化作用の際に発生したエネルギー体のことです。
ATPのおかげで私たちは体を動かしたり、心臓や消化器官を動かしたりできるのです!
毎日動いたり、生きていくために必要なATPですが、継続して一体の量を体の中にいつでも使えるように準備しておく必要があります。
ATPを作り出すシステムが私たちの体の中には3つあり、この3システムを使い分ける事で、私たちの体は効率的にATPを作り出し使うことができます。
このシステムが①ホスファゲン機構②解糖系機構③酸化系機構と呼ばれるものです。

3.ATPの作り方(ホスファゲン機構)


体を動かすことに使われたATPはADP(アデノシン二リン酸)と呼ばれるものへと変化します。
つまりATPを使い終わった後の抜け殻みたいなものです。
ここに肝臓に蓄えられているクレアチンリン酸が、抜け殻に一個必要なリン酸を供給してくれることで、ATPへと蘇り再度ガソリンとして利用できるようになるのです。
ちなみにこのホスファゲン機構は、30秒以内のかなりきつい運動の時に採用されます。

4.ATPの作り方(解糖)


30秒から3分間程度の普通〜きつい運動の時にATPを作り出してくれるシステムが解糖系機構です。
食べた炭水化物は消化され血中のグルコースや筋肉や肝臓にグリコーゲンとして蓄えられます。
グルコースは最終的にピルビン酸というものになり、ピルビン酸から乳酸に変換する過程でATPを作り出すのが早い解糖系といいます。
ピルビン酸を各細胞にあるミトコンドリアという場所に運んでATPを作り出すことを遅い解糖といいます。

5.ATPの作り方(酸化系機構)


3分間以上の軽めの運動の時に採用されるシステムが酸化系機構と呼ばれるものです。酸化系機構では、①炭水化物→②脂質→③タンパク質の優先順でエネルギー源として栄養素が利用されます。
酸素が十分な環境下で、ピルビン酸がミトコンドリアへと運ばれ、クエン酸回路という代謝機構の過程でATPが得られる仕組みです。
安静時には70%が脂質、30%が糖質から利用されていくため、基礎代謝が高いと脂質の減少に有効となります。

最後に

ここでは人の体がATPという体を動かすエネルギーになっており、運動の強度と継続時間で利用されるシステムが変化することが分かりました。
次回は、生理学vol.2です。糖新生とホルモンについてまとめます。

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