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3. 小学校の時の作文の宿題「病気になった」 #気管支喘息 その記憶

(1)喘息(ぜんそく)のリアル
 私は小学生の頃、よく発作を起こしました。強く記憶されていることに、ゼイゼイして階段を上がれない、苦しくてやっと上がった、というものがあります。学校から帰って家の玄関まで繋がる階段を上がるわけですが、遠く恨めしく、這うように上がった記憶があります。今でもその時の様子がミニ動画的な映像として浮かびます。おそらく何度も作り直されてそのようなマイ動画的記憶が形成されているのでしょう。小学校で作文の宿題が出た時、このときの思いを書こうと考え、タイトルは「病気になった」になりました。病気になった、ゼイゼイした、苦しかった、お医者さんに行った、丸い玉をのんでよくなった。といったところでしょうか。
 今のような治療薬がなかった時代ですから。大学生になっても発作を起こしたことがあります。研修医になっても、夜間の当直は喘息発作で苦しがっている人をいっぱい診ましたが、ドンドン減りましたね。尚且つ、ゼイゼイする喘息の方は減りました。

(2)咳喘息、咳症状の判別には問診が重要
 咳がでるといっても、その原因診断がつかなければ、患者さんは良くならず、「他院で治療したが改善しない」といって多数の患者さんが訪れます。「わたしは、喘息といわれた」とのお話しなのですが、前のお医者さんがどういう手順で喘息と診断したか、詳しくお聞かせ頂ける場合と、そうでない場合があり、また、ただ単に喘息なんじゃないか?的に軽く言われたことを、医者からの言葉なので「喘息」と信じている方もいます。
 咳が主たる症状のばあい、いくつかの疾患の鑑別が必要になります。
時間経過:発症からどのくらい?
 数日?
 1週間前?
 1ヶ月前?
 数年前から春に、とか、秋にとか?
出るタイミングは?
 昼?夜?どっちも?
 寝たら消えるの?
痰がある?黄色い?透明?ゼリー状の痰はある?
食事と関係していない?
この胸か喉の辺り、チリチリしない?
ほか、、色々聞きます。
問診がかなり重要です。

(3)治療、その後
 私の出身医局では上級医師に「喘息は治らないんだからな!」と懇々といわれ続け、その説をうんうんと頷かなければならない環境でした。私は信じていませんでした。吸入ステロイドを一体いつまでさせる気なんだ!と思ったことがあります。実臨床に出てからは、そのような反応が患者さんから出るわけで、私は一切「喘息は治らない説」を唱えることはしませんでした。
 多くの患者さんを診るにつけ、確かに長期必要の一群がいますが、早々に改善する方、一時的な症状の訴えの方、バリエーションがあります。
 ぜひ、あるがままを診てもらい、治療をされるのが宜しいかと思います。



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