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【アルツハイマー型オカンと「笑って暮らすぞ!」】その6 再び転んで大腿骨転子部骨折

初めての骨折から約1年半ほどたったころ、
少しだけ認知症を発症しているオカンから、
日曜日のお昼に電話がかかってきました。

「夜中にトイレで倒れて、
それから起きるのがつらいねん。
ちょっと来てくれへん?」

がらやん、大慌て。
トイレで倒れたってなに?
脳の病気かなんかなん?
えーー!?また病院!?

大急ぎで実家に行き話を聞くと、
夜中にトイレに行って、
気が付いたら、トイレのドア開けたまま、
仰向けに倒れていた、とのこと。

そのときオカンが住んでいた家は、
めちゃくちゃ古い家なので、あちこちに段差がありました。
夜中にトイレに行き、出よるときに、
その段差につまずいてこけた、
というのが正しい状況のようでした。

あぁ、また骨折かな。
仕事は1~2日休まないとあかんなかな・・・
と、がらやん、もんもんとしておりました。

翌日まで待って、かかりつけのクリニックでCT撮影が終わると、
ドクターはにこやかに、

「残念なお知らせですよー、
大腿骨が折れていそうだから、
大きな病院へ行って詳細みてもらいましょうねー、
多分入院になるかなー、ははははは!」

明るいドクター・・
笑い事じゃありませんよ、
どないしてくれますねん、と、
心の中で八つ当たりしていました。
ドクターのせいではないことは、重々承知なのですが。

さらに翌日、紹介してもらった病院で詳細検査したところ、
大腿骨転子部骨折だから、すぐ手術しましょう、
大腿骨のところに、ボルト2本、入れます!
というお話になりました。

え!?手術!?
年齢的にもう手術しなくても
保存療法とかのほうがいいのではないの?
と素直に質問したところ、
大腿骨転子部骨折の場合は、
手術したほうが圧倒的に早く歩けるようになりますし、
年齢から考えても、早く歩いてリハビリをしっかりしたほうが、
患者さんのためになりますよ、ということでした。

同じ骨折でも場所によっては
対処方法が違うんですね。
初めて知りました。

即入院して、その翌日には手術することになりました。
その際、手術のストレスで、強いせん妄がでることがあります
と説明がありました。

その時は、まあたぶん大丈夫やろう、
それより不安神経症やから、
怖がってしまうのではないか、と、
がらやんは心配していました。

手術の日は、病室で待機、
術後もしばらくは居ていいし、
お話もできますよ、とのことで、
のんびりと待たせてもらうことにしました。
手術時間はわずか1時間、
あっという間にオカンは病室に帰ってきました。

結構、ケロっとした感じで、元気そうだし、
普通に話もできているし、
これは大丈夫だな、
あとはリハビリして、歩けるようになって帰ってくるな、
手術して正解だった、と安心して、
その日は、早めに帰りました。

このとき、世の中はコロナ元年で、
そうそう面会もできず、
それはそれで仕事を休まなくて済むから助かるな、
と手術翌日は通常通りに出勤していたのですが、
午後3時ごろ病院の看護師さんから電話がかかってきました。

お母様が大変興奮されておりまして・・・
可能でしたら一度来ていただけないでしょうか

ええっ!?興奮!?
呼び出し食らうほど?
何をしでかしたんや、オカンは!?

慌てて病院に向かうと、
めちゃくちゃ怒っているオカンが
なんと、歩行器を使って廊下をスタスタと歩いていました。

んんっ???オカン、もうあんなに歩けてる!?

看護師さんに付き添われているものの、
かなりスムーズに歩いているではありませんか。

こんなに歩けるもんなの?と、結構驚きつつ、
付き添っていただいている看護師さんから事情説明をうけながら、
オカンを病室に送りつつ一緒にあるきました。

看護師さんがおっしゃるには、
「今日から車いすに座ってもらう練習を始めたんですけど、
少し目を離した隙に、車いすのうえに立っておられて・・・
術後ですし、また転倒したら大変ですし、
認知症もあるから危険なので、
ナースステーション近くの病室に移ってもらったんです。
そしたら、そんな話は聞いていない!と激高して、
私たちに怒り始めたんです、
ちゃんと説明はしたんですけど・・・・
誰が説明しても怒ってしまって、
ちょっと手に負えないぐらい興奮されてたので、
ご連絡させていただいたんです」ということでした。

せん妄というのが、
こういう形で現れると知らなかった
がらやんは、

「看護師さんたちの言うこと聞かれへんのやったら
〇〇病院(腰椎骨折で入院した病院、もうあそこは嫌だ、と常々ぼやいていた)に、
また戻らなあかんで!ちゃんと言うこと聞いて!」と
今度は私がオカンを怒りとばしました
せん妄だから、怒ってはいけなかったのに

ガミガミと怒りながらオカンを病室まで連れ戻し、
話をよくよく聞くと・・・

・勝手に部屋を変えられた。そんな話、聞いてなかったのに、
次に来た人が金持ちやからって、いい部屋から私を追い出した。
・箪笥(セキュリティボックス)のカギも盗まれてしまって無い。
・こんな家(部屋)を契約なんかした覚えがない、家賃はどうなるのか。
・腹立つから看護師を並べて怒鳴り散らしたった。
・あいつら(看護師または自分が前にいた部屋に入った人)が勝手にするなら
こっちもコンロ持ってきて餅焼いたろか。

餅・・・(笑)

もう支離滅裂
しかし、これがせん妄の症状なのです。

部屋を移ったいきさつを丁寧に説明しても、
まったく聞く耳もたず、
「あんた、そんなに看護師の言うことばっかり聞いてたら、
世間でだまされてしまうで!」とがらやんにも怒りだす始末。

セキュリティボックスのカギについては、
オカンがどこかに隠してしまったらしく、
看護師さんたちも探したけれど、
見つからなかったと報告を受けました。

もしかして、これは相当だめになったんではないのか?
認知症が一気にすすんだりしたのか?
これからどう対処したら・・?
と、頭の中では「どうしよう」という思いだけが、
ぐるぐるとめぐっていました。

しばらくしてオカンも落ち着いたので、
看護師に事情を説明し、挨拶をして、
セキュリティボックスのカギの件も謝罪していると、
オカンの執刀医とたまたまばったり会いました。

その執刀医、ニコニコしながら、
術後のせん妄がでちゃったみたいですねー、
よくあるんですよー、
手術って、高齢者の方には意外に大きなストレスになるんでねー、
まあ、様子見ましょう、このせん妄は一時的なモノだと思うので。
とおっしゃってくださいました。
そして、
まあ、手術翌日に車いすの上に立つぐらいやから、
ある意味手術は大成功ですわ、ははははは!」と
大笑いされました。
本当だ、手術は成功だ、オカンは大丈夫だ、
その執刀医の明るい感じが、
がらやんの気持ちを少し軽くしてくれました。

執刀医のおっしゃっていた通り、
せん妄は1日ほどで治まりました。

しかし、認知症はここでぐいっと進んでしまい、
入院中で何もお世話しなくていいはずのがらやんは、
ちょっと心が疲れる日々を送るのでした。

ここから、まだまだ術後のエピソードが続きます。
次回は、その7 手術後のリハビリで被害妄想 をお送りします。
お楽しみに!


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