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【アルツハイマー型オカンと「笑って暮らすぞ!」】番外編1 認知症の患者を初めて見たのは

本日は番外編のお話を。

みなさんは初めて認知症の方を見たのは、
何歳ぐらいのときでしょうか。
ご自身のご家族が初めてだという方が、
意外と多いかもしれません。

また、どこかで重度の認知症の方と出会い、
その姿を見て、衝撃で言葉がでてこない、
という経験をされた方もいらっしゃることでしょう。

がらやんが初めて認知症の方をみたのは、
小学校3年生の時でした。
腰の曲がったおばあさんでしたが、
それはそれは衝撃的で
ただ認知症の老人を見た、だけではない光景で、
見るたびに心が痛んだのを覚えています。

今は認知症の理解も研究もすすみ、
対応方法などがいろんなメディアで報道もされています。
介護の制度もずいぶんと整ってきましたので、
介護する側もされる側も、情報と制度をうまく利用すれば、
いろんな問題が、全てではなくても解決できるようになってきています。

今回のお話は介護制度ができる、
もっともっと前のがらやんの体験談です。

がらやんが小学3年生のときでした。
引っ越して住んだアパートの隣には、
大家さん一家が暮らしていました。

その大家さんのお母様が認知症でした。
がらやんは子供だったので、
ずいぶん年をとっているように見えましたが、
もしかしたら今のオカンよりかなり若かったかもしれません。
そのときのがらやんには90歳ぐらいに見えていました。

家の中をよくわからないことを言いながら徘徊するおばあさま
それだけでも、かなりの衝撃でしたが、
大家さんの奥様が、そのおばあさんを叩く、殴る、罵倒するのです。
とくに何か問題行動を起こしていないときでも。

止めて!イタイ!イタイ!ごめんなさい!と
泣きながら叫んで謝るおばあさん。
それでも憎らし気に叩き続けて、罵声を浴びせる奥様

がらやんは大家さん一家と仲良くしていたので、
よく大家さんのお宅に遊びに行ってたのですが、
(ちょうど年頃の娘さんがいたのもあって)
この光景に出会うたびに、体が固まっていました。
今で言うパワーハラスメントです。
それも度を越えたハラスメント。

しかし、時代はまだ昭和50年代、
パワーハラスメントという言葉も概念も、
おそらくそれを罰する明確な法律や条例もほとんどなく(おそらくですが)、
注意する人も止める人もいませんでした。

がらやんは、やめてあげて、ということができなくて、
歯がゆい思いでいっぱいでした。
こんなことがあっていいのか、と悲しく、
けれど、言葉にできないような激しい気持ちが湧いてきていました。

実の息子である大家さんは、
それを見ても、いつも何も言わないし、
何もしませんでした。

実の親が殴られているのに、
それも自分の奥様が殴っているのに、
大家さんはなぜ何もいわないのだろう
実の親が傷つけられて、つらくないのかと、
大家さんの心の中を不思議に思ったりもしながら。

今、がらやんがもっている知識や、
現在の介護制度を利用できたなら、
あのとき何か対処ができただろうと思います。
おばあさんの辛さも、奥様の怒りも、
もっともっと軽減されていたことでしょう。

しかし問題は何より、
愛情をもって寄り添うことができるかできないか、
ではなかったかと思います。
大家さん家族は寄り添ってあげられなかった、
その理由は、もしかしたら過去に嫌な思い出があったのかもしれません。
しかし、おばあさんは、もう何もわからない
のです。

殴りたくなる感情を持ってしまった奥様や大家さんご自身のためにも、
寄り添うことが必要
だったかもしれません。

認知症の方には、過去を許して寄り添うことが、
とても大事なことだ
と、がらやんは思っています。
認知症になった本人は、わからないことだらけになるのですから。

今回は、認知症についての衝撃の思い出と、
今なら何ができたのか、について、
考えながら書かせていただきました。
ただ思い出について書いただけの記事ですが、
認知症患者の介護をされているご家族の方、
またその他の精神疾患をもつ方を介護される方に、
何かを感じていただければ幸いです。

番外編、またいずれ。


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