見出し画像

なぜ私達は「善い」人を叩きたがるのか?

私達は他者を叩きたがる生き物です。とりわけ、自分より優れて評判のいい相手にはかちんと来て意地悪をすることがあります。しかし、なぜ私達はこのような行動を取るのでしょうか。今回取り上げる論文は、このような攻撃行動を生理学的に読み解いたものになります。

公共財の状況における反社会的処罰の個人差: コルチゾールとテストステロンおよび支配の相互作用
Individual differences in antisocial punishment in public goods situations: The interplay of cortisol with testosterone and dominance

この研究では、「反社会的懲罰」と呼ばれる攻撃行動を引き出す実験を行っています。通常懲罰行動は社会の和を乱す相手に与えられるものですが、この実験では社会に貢献した気前の良い人を攻撃するよう仕向けます。

具体的には4人一組で公共財ゲーム(公共に投資した額が割増になって皆に分配されるゲーム)を行います。参加者は1ターンに一度、自分よりも多くの額を公共財に投資した人を懲罰することができます(自分が払った懲罰代の数倍が攻撃相手から差し引かれる)。

このゲームを行っているときのコルチゾール(ストレスホルモン)とテストステロン(攻撃性に関わる男性ホルモン)を調べているのですが、

コルチゾールレベルが低く、テストステロンレベルが高いときに、反社会的懲罰行動が出やすくなることが示されています。

その理由として、ストレスホルモン、コルチゾールは行動を抑止する働きがあるため、コルチゾールが低い状況では、テストステロンによって引き起こされる攻撃行動が抑制されないためではないかと論じられています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?