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報酬系とその仕組み

仕事にしても教育にしても、あるいは買い物にしても問題になるのは私達の心です。しかし、その心とは一体どのようなものなのでしょうか。今回取り上げる論文は、心の根幹にある欲望に関わる脳の仕組みについてです。

Dopaminergic reward system: a short integrative review
Arias-Carrión, O., Stamelou, M., Murillo-Rodríguez, E., Menéndez-González, M., & Pöppel, E. (2010). Dopaminergic reward system: a short integrative review. International archives of medicine, 3(1), 24.

脳の中には報酬系と呼ばれる仕組みがあります。


Arias-Carrión, 2010, figure 1

これは脳の奥深くにある中脳をその起点とするネットワークで、上の図あるように脳に広く広がっています。報酬系が活動することで人間の欲求に関わる以下の3つの機能が高まります。

1.動機づけ(Motivation)
報酬系が働くとモチベーションが高まります。あれがほしい、これをしたいという気持ちが高まるのです。

2.学習(Learning)
好きこそものの上手なれという言葉がありますが、やっていて楽しいこと、好きなことは学びや成長も早くなります。

3.意思決定(Decision-making)
報酬系の活動が高まることで、実際のアクションにつながりやすくなります。買おう、やろう、行こうなどという意思決定は報酬系の活動が高まることで促されます。

そして、この報酬系のスイッチを押すには以下の4つの刺激が必要になります。

1.自然報酬
食べ物や水、性行動や社会的交流など、生きていくうえで必要不可欠なものは報酬系の活動を高めます。

2.条件刺激
条件付によって報酬系の活動を高めることもできます。これはパブロフの犬のようにベルの音で肉が出されるとベルの音自体を好きになるようなものです。

3.薬物
コカインやアルコール、ニコチンなども報酬系の活動を高めます。これらの刺激は自然報酬以上に高い活動を引き起こします。

4.新奇性
自分の予想を超えるようなものも報酬系の活動を高めます。目新しいものが売れやすいこととも関わっているかもしれません。


明日読む論文:
報酬システムと依存症:ドーパミンが何をし、何をしないか
Di Chiara, G., & Bassareo, V. (2007). Reward system and addiction: what dopamine does and doesn’t do. Current opinion in pharmacology, 7(1),
69-76.


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