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慢性ストレスと急性ストレスは心拍変動にどのように影響するか?

一般にストレスには2種類あることが知られています。一つは急性ストレスで、急に運動したり、あるいは急にスピーチするような時に生じるストレスです。もう一つは慢性ストレスで、毎日切羽詰まって生活しているようなことで与えられるストレスです。

心拍変動というのは心拍が早くなったり遅くなったりといった心拍のゆらぎを示す指標ですが、これはストレスの影響を受けることも知られています。

今回取り上げる論文は、ストレスの種類(慢性または急性)で心拍変動のパラメーターがどのように変換するかについて調べたものです。

Effects of stress on heart rate complexity—A comparison between short-term and chronic stress
心拍数の複雑さに対するストレスの影響 - 短期ストレスと慢性ストレスの比較

実験では成人健常被験者50人を対象に、慢性ストレスと急性ストレス(スピーチ課題)の影響を調べています。

生理学的指標としては、心拍数平均値、HF(高周波成分)、LF(低周波成分)、LF/HF、R-R感覚およびその標準偏差、呼吸数、呼吸性洞性不整脈、さらには心拍変動の複雑性などを調べています。

結果としては以下のことが示されました。

・短期的ストレスで、心拍数平均値、R-R間隔の標準偏差(SDRR)、低周波数帯域パワー(LF)、高周波数帯域パワー(HF)(p = .009)は増加する。

・呼吸性洞性不整脈(RSA)およびLF/HF比は短期的なストレス下では変化しない。

・心拍変動の複雑性指標(HR D2)は慢性ストレスと急性ストレスの両方で低下する。

Q: LF/HFはストレス状況を反映しづらいのでは?心理的ストレスと身体的ストレスは同じ次元で測ることができないのでは?

明日読む論文:
The ratio of heart rate to heart rate variability reflects sympathetic activity during incremental cycling exercise
心拍数と心拍数変動の比率は、漸進的なサイクリング運動中の交感神経活動を反映します。

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