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脳科学から考える幸福とは?

人生には身近なロールモデルが影響を与えるという。私の場合はそれは祖母であった。

祖母は個人事業主として呉服商を営んでいた。

仕事が好きで朝から晩まで商売に打ち込んでいたが、それでも晩年、「仕事ばかりで全然遊ばなかった」と悔いるようにつぶやいた。

彼女の人生はそれなりに幸せだったと思うが、なぜ彼女は自分の生き方を悔いたのだろうか。

心理学では、幸せには2つのタイプがあると言われている。一つは快楽的な幸せで、ケーキが美味しい、サウナが気持ちいいといったようなものである。ポジティブ心理学でヘドニアと言われるものだ。

もう一つは、自己実現的な幸せで、一生懸命目的を持って活動している時に感じるものだ。仕事に打ち込んでいたり、スポーツに熱心に取り組んでいる時に感じる幸福感だ。これはユーダイモニアとも言われる。

そしてここに脳の仕組みを絡めて考えると、快楽的な感覚には脳の中でも「好きだ!」という感情を司る仕組みと関係している。少し細かい話をすると、この仕組みを動かすのは、オピオイドと呼ばれるホルモンになる。

そして、自己実現的な幸せに関係するのは、「欲しい!」という感情を司る仕組みで、これにはドーパミンが関係している。

ある研究では、生活の中のどのような要素が、快楽的な幸せや自己実現的な幸せ、そして総体的な人生の満足度に影響を与えるかを調べている。

すると結果としては、「休憩」がもっとも快楽的な幸せに影響すること、そして、「コアとなる業務」が自己実現的な幸せに影響することが示された。

そして興味深いことに、「趣味」は、快楽的な幸せも自己実現的な幸せも、ともに高めたことも示されている。

祖母は仕事が趣味のような人だったが、それでも人生の中で、快楽ホルモン、オピオイドの分泌がたりなかったのではないかとも思う。

私自身も仕事が趣味のようなところがあるが、人生、ドーパミンだけではどうも片手落ちになりそうである。生活が落ち着いたら、畑仕事でも再開しようかと画策している。

【参考文献】

Kopperud, K. H., & Vittersø, J. (2008). Distinctions between hedonic and eudaimonic well-being: Results from a day reconstruction study among Norwegian jobholders. The Journal of Positive Psychology, 3(3), 174–181. https://doi.org/10.1080/17439760801999420


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