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地域性の心理学:なぜ地域によって気質が異なるのか?

県民性というのはテレビ番組になるくらい話題になるものですが、私自身の経験から言っても、たしかに土地による気質の違いというものはあります。しかしこの原因となるものは何なのでしょうか。

今回取り上げる論文は米国で行われた全米50州の気質の違いについて詳しく調べたものになります。

心理的特徴における地理的差異の出現、持続、発現に関する理論
A Theory of the Emergence, Persistence, and Expression of Geographic Variation in Psychological Characteristics

この研究では全米50州の住民60万人以上を対象に性格検査データ(ビッグファイブ)をまとめ、州ごとの気質の違いについて調べ、その原因について仮説を立て検証しています。

結果としては、州による気質の違いが見られ、性格的な外向性は中西部と南東部で高く、神経症傾向は北東部と南東部で高いこと、

さらに州レベルのパーソナリティの平均値は、犯罪率、社会的関与度、宗教性、価値観、職業分布、健康行動、死亡率などの社会指標と関連があることが示されています。

またこのような違いが生じる理由として以下の図のようなモデルが提示されています。


図1を参考に筆者作成

これは具体的には、例えば、ある地域で開放性が高い人が多ければ、芸術、文学、科学などに対する関心が高まり(Path A)、教育水準や芸術活動への参加などの形で地域的特徴として表れる(PathB)。こうした環境は他の住民にも影響を及ぼし(Path C)、大学や文化施設の設立を後押し(Path D)、さらに開放性の高い人々の流入を促す(Path E)、という好循環を生み出すことができる、ということになります。

よく地域おこしでは、若者、よそ者、変わり者を招き入れるのが大事だと言われていますが、上記の図を考えると、たしかにその通りなのかなと思いました。

Q: 地域性に遺伝的要因は関係するのか?

明日読む論文:
文化と個性の社会生態学的遺伝的枠組み: それらのルーツ、傾向、相互作用
A Socioecological-Genetic Framework of Culture and Personality: Their Roots, Trends, and Interplay


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