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FRP(バスフロア)の危険な経年劣化

FRP(バスフロア)の危険な経年劣化①

「割れる・陥没する」
FRPのバスフロアの危険な経年劣化の例として挙げられるのも、タイルと同様「割れる」ことです。
FRPのバスフロアは割れる前、ポリバスと同様にベコベコと素材が柔らかくなり、部分的にクラックがはじまります。
それを放置して使い続けていると、体重の重い人が乗ったり、劣化の限界を迎えたりしたときに、「バリバリバリ!」と大きな音を立ててバスフロアが陥没するのです。

私がこれまでリフォームしたなかにも、「バスフロアの一部分が陥没してしまい、そこにシートを敷いて入浴していたけど、ついにすべてのバスフロアが陥没してしまった」という方がいました。
「バスフロアがそっくりなくなって困ったのでなんとかしてほしい」
という依頼は実は珍しくありません。

バスフロアが陥没すれば、当然、浴室の快適さはなくなってしまいます。
ただ、バスフロアが陥没する兆候に気づける人はほとんどいないでしょう。
ポリバスと同様に、FRPのバスフロアはある日突然、陥没する危険があるのです。


FRP(バスフロア)の危険な経年劣化②

「エンボス加工の汚れ」
FRPのバスフロアにはくすみや汚れがつきやすく、これもまた劣化の原因となります。
くすみや汚れがつきやすいのは、FRPにエンボス加工と呼ばれる加工が施されていることが関係しています。
FRPは、プラスチックでできており、ツルツルとしています。
その表面に加工を施すことで、細かな突起をつくっているのです。
バスフロアの表面に細かな突起を作る理由の一つは、FRPのツルツルとした素材のままでは高級感がなく、見た目が美しくなくなってしまうからです。
さらにもう一つ、エンボス加工にはバスフロアを滑りにくくするという大事な役割があります。
浴室メーカーには「製造物責任(PL)法」と呼ばれる、「製品の欠陥によって
生命、身体又は財産に損害を被ったことを証明した場合に、被害者は製造会社などに対して損害賠償を求めることができる」という法律があります。
もし滑って転倒してしまった人がいれば、メーカーは損害賠償責任を問われます。
そこで、表面をエンボス加工でザラザラにして、水で滑りやすくなっているバスフロアの上でも、滑って怪我をしないように工夫しています。
ただし、エンボス加工により引っ掛かりが多くなる分、汚れが付きやすくなっています。
また、エンボス加工のバスフロアを作るためにFRPに細かい穴があるため、その穴にも汚れが入り込みます。
これが原因で、バスフロア全体がくすんできたりカビが発生しやすくなったりするのです。

壁やシャワー周りが劣化することも浴室の壁やシャワー周りも、気づかぬうちに劣化していることがあります。
ユニットバスの場合、壁が劣化するとサビが出てくることがあります。
その原因は壁の後ろ側にある「鉄板」です。
FRPだけでユニットバスの壁を作れば、薄くて断熱性がないため、頑丈な壁にはとても仕上がりません。
そこで、FRPの壁材の後ろに「木の板」や「合板」を置くことで、壁全体を頑丈にしていきます。

ただ、浴室は水を使う場所ですから、板だけでは壁が腐りやすくなってしまいます。
そこでユニットバスの壁は、FRPの後ろに「鉄板」を貼り付けて作っていくのです。
こうすればローコストで仕上がるため、アパートなどでもユニットバスを導入しやすくなります。
高級なユニットバスになると断熱材を「板金」で作る壁もありますが、ほとんどのユニットバスの壁には、鉄板が使われています。
入浴したとき、壁の裏側は温度が上昇して、湿度が高くなります。
湿度が上昇すれば、壁の裏側はびっしりと汗をかいたように結露するのです。
その結露で発生した水は、壁の内側にある「鉄板とFRPの隙間」に溜まって流れ落ち、壁の裏側にある「FRPの立ち上がり部分」にすべて溜まってしまいます。
そうなれば、壁の内側にある鉄板がいつまでも水分と触れている状態になるので、そこにサビが発生するわけです。
サビが拡大すると、FRPの壁は腐食して膨らんでいき、ブクブクとした気泡のような状態になり、バリバリと簡単に割れやすくなっています。
ドライバーで突いてみれば、簡単に穴があくことでしょう。
こうなった壁はもはや「浴室全体をなんとなく覆っているだけ」の存在で、防水の役割を失っています。
浴室は壁から漏水してしまえばもう使えません。
アパートなどのユニットバスでは、このような結露によるサビが定番中の定番です。


小林誠司 紹介VTR
(TV番組「密着ドキュメンタリー分岐点」より)


理想化研 サービス紹介VTR
(TV番組「密着ドキュメンタリー分岐点」より)


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