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とある病院情シスのコロナ対応



この記事は【初心者優先枠】corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#2 Advent Calendar 2020の20日目です。


こんばんは。九州のとある救急病院で情シスをしております、「まゆかず」と申します。この度初めてアドベントカレンダーに登録、投稿させて頂くこととなりました。

少し自己紹介をしますと…、SES(4年半)→病院情シス(4年目)で主に電子カルテのヘルプデスクや端末キッティング、IT資産管理、システム提案、電気が通ってるもの全般、etc..を業務としています。

今回は今年の春から世界を混乱に陥れている新型コロナウイルスの対応で、田舎の救急病院で起きた事についてお話させて頂きます。

■病院内が文明開化の如くIT化した

嬉しいか悲しいかは置いておいて、向こう5年掛けて計画していたハード環境の構築、システム導入、制度の制定がコロナ禍の半年で全て起こりました。

↓↓半年で起こったこと例↓↓

①PCRセンター(プレハブ)・COVID-19専用病棟の設置、IT機器配備
②面会禁止からのオンライン面会体制へ(Jitsi meet、LINE)
③近隣診療所とのWebカンファレンス(Skype・Zoom)
④↑に伴うインフラ機器追加、更新
⑤タブレットによるAI問診(○ビー)
⑥在宅ワーク(SoftEther VPN)
⑦学会・研修・セミナーのオンライン開催(Zoom、WebEX)
etc...

なんか他にも色々あった気はしますが、正直思い出せません…
いや、思い出せないほど色々あったのです。
ただ全てに共通している事は"納期が激短"という事でした。

IT機器配置が翌日とかはザラで金曜夕方に依頼された内容の期限が月曜昼までとか鬼畜の所業にしか思えませんでした。

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偉い人「面会禁止にすっけど全く顔も見えないのはまずいからどうにかして」(金曜夕方)

ぼく「おかのした(リアルで対面は無理ならオンラインにして…、現場の事を考えるとLINEが妥当だがタブレットもスマホもねえ!!!!!とりあえずは予約制で患者家族を別室に案内してビデオ面会って形にしよう。でも別室・病室にネット環境は無いから業務系LANで動く環境を…Jitsi meetってやつが良さそうだから適当なSVにCentOSからインスコして検証じゃああああああ。構築完了。現地環境で検証おkだったから予約枠とルールを作って偉い人~現場に説明を…)」
※半日の話です。
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■補助金 is GOD

色々構築、導入するにあたり問題となる"おカネ"ですが、ありがたいことに国や県からコロナ対策の補助金が下りてきました
(申請から振り込みまで遅いけど…)

頂いたお金はIT機器や感染対策用品に使わせて頂いております。特にIT機器は例年に無い突発的な購入を何回もしました。
IT機器購入の稟議を上げる度に経営層から嫌な顔をされましたが…

「PCやプリンタは勝手に生えて来ねえ、残ってる機器は経年劣化したオンボロばかりだ」

と半ば乱暴に説明して購入させてもらいました。

ITに疎い経営層にありがちかもしれませんが、「PCは言えば出てくる」と思いがちです。
新しい部屋ができればIT機器は買わないといけないのです(大事)
そしてその必要性を訴えるのも情シスの重要な仕事だと感じさせられた半年でした。

■人 員 不 足

補助金はある、経営層の決裁が下りている。しかし、自分たち情シスが動き出せない理由がありました。それは…

「情 シ ス の 人 員 不 足 」

現状、ウチでメインの業務を行っているのは自分と課長の2人だけ。
これまでやっている通常業務+コロナ対応(機器&システム)となると手が回りませんでした。
そこで自分たちはこれまで手とり足取りのIT介護状態だったヘルプデスク対応を、ある程度ユーザー自身にも負担を分けるようにしました。

具体的には「①基幹システムメーカーへの問い合わせをユーザー自身にしてもらい」、「②ヘルプデスクへの連絡は電話から基本的にメールで依頼してもらう」ようにしました。

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①これまでは現場職員から問い合わせ内容を電話で受けて、情シスが文章化してメーカーへ問い合わせ

電話で受けた内容を文章化するのが手間。又聞きになるので細かいニュアンスが伝わらない。

じゃあユーザー自身で問い合わせてもらおう。
ただし情シスも監視、介入はしていく。

②現場職員からの問い合わせは基本的に電話

作業中に電話が来ると手が取られる。
別件対応中だと詳細を忘れてしまう。

メールにしてもらい、優先度を付けて対応する。
言った言わないを防ぐことができる。
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①②のおかげで、完全ではありませんが雑多なヘルプデスク対応の負荷が減り、コロナ対策の対応に時間を割くことができました。

■コロナが病院の情シスに与えた影響

「えっ!今夕方の5時なのに明日の朝イチで端末を5台準備しろだって?できらぁ!」

というのは(フィクションであって欲しいが本当にあった)例ですが、日々変わる情勢や経営層の鶴の一声に対して素早い対応をするスキルが身につきました。

また、コロナのおかげ…と言っては語弊がありますが、情シスの必要性は確実に増したと感じています。
今や「仕事×感染防止対策」といえばITの出番です。
ここ最近情シスの募集が目立つようになったのもその影響少しはあるのでは…?と考えています。
ただ1つ思うことが…

「急速にIT化していった環境に現場の職員が着いていっているのか?」

という点です。経営層の仰せのままに実行したIT化は、当然ながら現場の職員の関心は薄かったです。IT化した後の現場職員の声を聞く度にシステムの導入方法について考えさせられ反省しました。
現場のITに対する理解度も導入するシステムと比べて格差が広がっているので、来年は現場職員向けにIT勉強会を開催したいな~とか計画しています。

■最後に

病院という特殊な環境、、、IT慣れしていない人ばかり、、、院長は神の存在、、、などなど。
どちらかというと中小企業に近しい環境な我が職場ですが、職場内のIT環境としては、まだまだ改善の余地有りだと考えています。
今回の経験を糧に経営層の古い考えをぶっ壊すような提案をしていきたいと思います。

以上、ここまでお読み頂きましてありがとうございました。

明日は「いずみや」さんの「 社内オンプレのチャットサーバを立てから1ヶ月ちょい経った所感」です!!
お楽しみに!!

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