大武芸者時代

私、縁ノ宮 術流はやや緊張しつつもその館の玄関をくぐった。館に足を踏み入れた瞬間、ひりひりと刺すような視線を感じる。幾人もの強者の気配がした。

「縁ノ宮さま、ですね?こちらで受付を、あなた様が最後の到着者でございます」
いつのまに現れたか、館の執事が声をかける。手元の名簿に視線をやれば、そこには知られた数々の武芸者達の名前がずらりと並んでいた。

これから始まるは、日本各地に古くから存在する【本来の姿を遺した】古武術・武芸の達人が一堂に集い、技を披露する御前試合。

居合術、流鏑馬、薙刀、柔術、カポエラ、投げ縄、南京玉すだれ、緊縛師、相撲、ディアボロ、酔拳、ケツ割り箸、修験道、浄瑠璃、骨法

表の世界でも名の知れた大家から、闇の世界に名を残す暗殺者まで、揃いも揃ったり15人の武芸者。
この中に、父を殺した犯人がいる。必ず見つけ出す。

私は決意を込め、名簿の武芸名欄に力強く、【ハンドパワー】と書き記した。

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