役割の平等(職務に貴賎なし)

先日のエントリーで、ジェンダー平等について書きました。
その中で、
「社会人なんて言葉は嫌い」
「女性の社会進出なんてもっと嫌い」
と新入社員研修で言うと書きました。

ここで言いたいことは、「役割の平等」です。
GGGIというのは世界経済フォーラムという
いわば「(欧米の)財界人が作った基準」なので、
「稼ぐ奴が偉い」になっていますが、
日本語には「お陰様」「縁の下の力持ち」という言葉があります。
この二つの言葉は適切な英語に出来ないのです。

新入社員が集団で研修をするのは、大概「ライン部門」です。
私の相手(受講生)はPG・SE職になる人です。
そこで「ジェンダー(性役割)」という視点を超越して、
役割そのものの平等の話をします。
それは「職業に貴賎なし」と同じで、
「役割に貴賤なし」ということを認識して欲しいのです。

「稼ぐ奴」だけが偉いのか?
たとえば、1億円の売上を挙げるセールスマンがいたとしましょう。
その人が自分で仕入れて、自分で納品して、
自分で支払手続をして、自分で請求手続をすると仮定したら、
その人は1億円の売上が稼げるでしょうか?
当然「NO」です。
経理部門、総務部門等の「スタッフ部門」がきちんと仕事をしているから、
安心して営業に行けるのです。

人事部門なんて、今は大変です。
私が学生だった頃(1980年代前半)は、
高校と専門学校の就活は8月からで、
大学生の就活は8月に説明会、10月に入社試験でした。
人事部門の観点で見ると、
新入社員研修が一段落して、来年の募集だったのです。
ところが、今は新入社員研修と来年の募集が同じ時期にあります。
おそらく、そこは「戦場」みたいなものでしょう。
そういう人たちがきちんと仕事をしているから、
ライン部門は安心して任せられるのです。
これが日本流の「お陰様」「縁の下の力持ち」です。

「稼ぐヤツが偉い」という基準では測りきれないのです。
専業主婦(主夫)も同じことです。

「誰のお陰で飯が食えるんだ」とお父さんが言ったら、
子供が「お母さんが作ってくれるから」と答えたという笑い話があります。
それは「役割分担」であって、そこに「貴賤」はありません。
GGGIでは「役割平等」は測れないのです。

私は新入社員(PG・SE職)たちに、
「スタッフ部門がいるから、自分の職務に専念できる」
と教えます。

職業に貴賎なし、職務に貴賎なし、役割に貴賎なし。

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